声明・申し入れ、2015年

2015年04月15日

平和フォーラム第17回総会/戦後70年、「平和」と「いのち」の尊厳を求める特別決議

   敗戦から70年が過ぎようとしています。誰もが日本が変貌していくことに大きな危惧を抱いています。「さようなら原発1000万人アクション」「戦争をさせない1000人委員会」の運動で、常に私たちを鼓舞しその先頭に立っている大江健三郎さんは、「戦後は明るかった」と話されます。かけがえのない友を、肉親を、愛する人を失ってもなお、涙することを許されない戦争国家が、1945年8月15日に崩壊しました。日本の敗戦はその重圧からの精神の解放だったのです。「時代の精神はずっと『不戦』と『民主主義』の憲法に基づく『戦後の精神』だった」と、大江さんは続けます。
   私たちは、今まさにその「戦後の精神」の原点に戻らなくてはなりません。国内外の多くの人々の命を奪った戦争国家から、新しい憲法を手にして、曲がりなりにも70年の年月を「戦争」を行わずにきた日本の、出発の原点に戻らなくてはなりません。「不戦」と「民主主義」は人間の尊厳の基本であり、「いのち」の源泉であるはずです。
   「集団的自衛権」行使容認を閣議で決定し、平和の憲法理念をゆがめ、私たちに再び銃を取れと迫る政府。そのために「特定秘密保護法」によって物言えぬ社会をつくろうとする政府。歴史事実を歪曲し、東アジア諸国との対立を煽り、あたかも脅威であるかのように喧伝する政府。沖縄県民の反対の声を無視し、アメリカのために新基地建設を強行する政府。企業の利益のために、命を危険にさらす原発を再稼働し、その原発や命を奪う武器までも輸出しようとする政府。格差を拡大し貧困をつくりあげる政府。防衛予算を増額しながら生活保護費をさらに削減する政府。
   平和フォーラム・原水禁は、あの東日本大震災・福島原発事故以降、「ひとり一人の命に寄り添う政治と社会」を求めて全力でとりくんできました。あれから今日まで、政治はどこを向いてきたのでしょうか。私たちの、被災者の、社会的弱者の顔と向き合ってきたでしょうか。その瞳の奥をのぞいてきたでしょうか。「いのち」の底からの言葉を真摯に聞き取ってきたでしょうか。私たちは思います。これほどまでに「いのち」をないがしろにする政府はなかったと。
   平和フォーラム・原水禁は、日本国憲法と憲法の規定する「いのち」の尊厳を基本に、市民との連帯をさらにすすめ、組織の全力を挙げてとりくみをすすめることを決意します。

  • 私たちは、「集団的自衛権」行使容認に反対し、戦争のためのあらゆる法制度を許しません。
  • 私たちは、脱原発社会を求め、東日本大震災と福島原発事故からの復興への誠実なとりくみを求めます。
  • 私たちは、社会的経済的格差を是正し、貧困のない平等な社会を求めます。
  • 私たちは、基本的人権の尊重を基本に、差別を許さず多文化共生の社会を求めます。
  • 私たちは、「平和」と「いのち」の尊厳を基本に、憲法理念の実現に向けて、全力でとりくみます。

フォーラム平和・人権・環境 第17回総会

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