大江・岩波沖縄戦裁判の上告棄却に際しての声明
2011年4月25日
大江・岩波沖縄戦裁判の上告棄却に際しての声明
フォーラム平和・人権・環境
事務局長 藤本泰成
作家・大江健三郎さんの著書「沖縄ノート」(1970年、岩波新書刊)の「沖縄戦において、集団自決を日本軍が命じた」とする記述内容が事実誤認で名誉毀損にあたるとした訴訟(「大江・岩波沖縄戦裁判」)において、最高裁判所第一小法廷(白木勇裁判長)は、原告の上告を退ける決定をしました。これによって、「集団自決に日本軍が深く関わったことは否定できない」とする2008年10月の大阪高裁判決の内容が、確定したことになります。
平和フォーラムは、沖縄戦に関する勇気ある証言者の方々と、地道な研究を続けてきた研究者の皆さんの努力に敬意を表するともに、その成果を踏まえた一審・二審の良識ある判決と今回の最高裁の判断が日本の教育と将来にあたえる役割は大きいと考えます。
2007年3月、文部科学省は高校歴史教科書の検定において、「集団自決への日本軍の関与」を否定し削除させる指示を行いました。理由は、「事実が明確でない」「裁判で係争中である」ということで「沖縄戦の実態を誤認する恐れがある」というものでした。
平和フォーラムは、当時係争中とされた「大江岩波沖縄戦裁判」で、「集団死(集団自決)への日本軍の関与という事実を否定できない」とした判決が確定したことを受けて、文部科学省に対し、2007年にさかのぼって検定意見を撤回することを強く要求します。
「軍隊は市民を守らない」という沖縄戦の教訓を忘れてはなりません。戦争が平和な市民生活を奪い、人の意に反して「命」を奪った現実を、将来にわたって忘れてはなりません。そこを原点として、平和を希求しひとり一人の「命」を基本にした社会をつくろうとしてきた「戦後」を忘れてはなりません。日本の教育行政を担う文部科学省は、判断の誤りをきびしく自らに問うべきです。
平和フォーラムは、この判決の意味をかみしめて、今後も日本国憲法の理念の実現を追求し、安心・安全の平和で心豊かな社会を求めて、とりくんでいくことを確認します。
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