声明・申し入れ、2018年

2018年12月14日

山城さん・稲葉さんへの福岡高裁那覇支部の不当判決に対する平和フォーラムの見解

山城さん・稲葉さんへの福岡高裁那覇支部の不当判決に対する平和フォーラムの見解
 
 フォーラム平和・人権・環境
 共同代表 福山真劫

 12月13日、山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)と稲葉博さんに、福岡高裁那覇支部の大久保正道裁判長は、「控訴棄却」の判決を言い渡しました。私たちは、沖縄県民の意思を踏みにじり、暴力的弾圧を駆使しながら基地建設を強行する安倍政権の蛮行を裁かず、平和と民主主義実現のために、憲法上保障された権利に基づき抗議の諸行動を行ってきた山城さん・稲葉さん対してなされた、1審に引き続いての不当判決を、満腔の怒りをもって弾劾します。
 2018年3月14日の那覇地裁判決は、威力業務妨害、公務執行妨害・傷害などとして、山城さんを「懲役2年執行猶予3年」、稲葉さんを「懲役8月執行猶予2年」とするものでした。山城さん・稲葉さんは直ちに控訴し、10月16日に第1回公判、11月13日に第2回公判、そして12月13日の判決を迎えました。
 控訴趣意書では、①「琉球・沖縄の歴史を理解せず、意図的に『裸の行為』のみを判断の対象とした原判決は、憲法の下位にある刑法を沖縄支配・抑圧の手段として利用している。事件の表面だけでなく、沖縄の歴史、本件各事件の本質、経緯を見定めて判断を」、②「威力業務妨害も現実に発生していない。警視庁機動隊による激しい弾圧に対応しての表現行為であり、違法性阻却事由がある」、③「検察側証人の傷害の証言は信用できない。また沖縄防衛局の行為は、法的根拠のない違法なテント撤去への着手である」とし、「原判決の不当性を直視し、正義にかなった適切公正な判断を」と主張しました。また第2回公判では、高作正博・関西大学教授が証言し、「威力業務妨害罪の適用は、表現の自由を侵害し、違憲であり、無罪である」と訴えました。こうした弁護側の主張に一切答えることなく無視した、不当な判決を絶対に許すわけにはいきません。
 この事件の本質は、高江・辺野古基地建設反対運動の高揚のなかで、工事が遅れ続けていることに業を煮やした安倍政権の意向を受け、警察、検察が一体となり、公務執行妨害・傷害事件と威力業務妨害事件の二つの事件をでっち上げ、山城さん・稲葉さんを「犯罪者」に仕立てることで、沖縄県民の基地建設反対のたたかい全体の抑圧・鎮圧を狙った、政治弾圧にほかなりません。そして、司法がこのことを忖度し、1審、2審と続けて不当な判決を下したものです。
 山城さん、稲葉さんの行為は、憲法上保障されている「平和的生存権」、「表現の自由」に基づく行動であり、沖縄の平和と民主主義を実現するための行動です。13日の報告決起集会で山城さんは、「こんな判決に負けるわけにはいかない。明日から土砂投入が始まる。全国の仲間に呼びかけてたたかいぬこう」と決意表明しています。
 沖縄の県民の意思は、玉城デニーさんの県知事当選などの度重なる選挙結果、あるいは世論調査、そして反対運動の高揚に、繰り返し明確に示されています。それにもかかわらず安倍政権による沖縄蹂躙が続くのは、本土でのたたかいの弱さの結果だということを、私たちはよく知っています。辺野古の海への土砂投入が始まろうとする今こそ、私たちの責任を果たしましょう。

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