憲法審査会レポート、2023年

2023年03月24日

憲法審査会レポート No.11

2023年3月23日(木) 第211回国会(常会) 第4回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54465
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025021120230323004.htm

【マスコミ報道から】

改憲テレビCM、規制巡り論議 自民は慎重、立民「必要」
https://nordot.app/1011473741620445184
“衆院憲法審査会が23日開かれ、改憲手続きを定めた国民投票法が議題となった。自民党は、改憲案の賛否を訴えるテレビCMに関し、自主規制のガイドラインが整備されているとして放送事業者への規制には慎重な考えを示した。立憲民主党は、情報の公平性を保つためには法律によるCM規制が必要だと訴えた。”

国民投票法めぐり議論 衆院憲法審 立民「CM規制必要」 自公「改憲発議可能」と主張【詳報あり】
https://www.tokyo-np.co.jp/article/239758
“衆院憲法審査会は23日、改憲手続きを定めた国民投票法について討議した。立憲民主党は、テレビCMやインターネット広告の規制導入が国民投票の前提になると主張。自民党と公明党は、現行法の下でも実施は可能だという認識を示した。”

立民、議員任期延長の改憲不要 衆院憲法審が自由討議
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023032300865&g=pol
“衆院憲法審査会は23日、緊急事態条項を創設する憲法改正を巡り議論した。大規模災害など緊急時の議員任期延長の規定に関し、立憲民主党の中川正春氏は「一定の範囲で権力を集中させ、危機対応を即応的に行うことが目的であれば、憲法改正は必要ない」と主張した。”

衆院憲法審査会 国民投票法のあり方など議論
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230323/k10014016951000.html
“自民党は、去年衆議院に提出した国民投票法の改正案は、公職選挙法に合わせて投票環境を整備するもので、審議が行われていないことは残念だと指摘し、速やかな成立を求めました。”

憲法改正の国民投票CM規制、平行線たどる 衆院憲法審
https://mainichi.jp/articles/20230323/k00/00m/010/267000c
“自民の新藤義孝氏は「日本民間放送連盟の自主的な取り組みを理解する。この問題は一定の整理がなされている」と述べ、CMを出す政党側の自主規制の議論に移ろうとしたが、立憲の中川正春氏は「法律によるコマーシャル規制は必要だ」とし、政党による意見表明CM禁止などの法制化を求めた。”

【傍聴者の感想】

初めて衆議院憲法審査会の傍聴に参加しました。

与党の自公、野党の立民、共産、野党だが改憲派である維新、国民、衆院会派「有志の会」が国民投票法、緊急事態条項などをめぐり議論を交わしました。維新が推す憲法裁判所について、公明の議員が明確に異なる意見を述べるなど、改憲派は一体ではないようです。しかし改憲をめざすすべての政党の、とにかく早く開催を重ねて、議論の整理をごり押しして、改憲発議に向けて突き進んでいこうという姿勢は明らかでした。結論ありきというのが、露骨に見て取れました。

国民投票をめぐる議論の中で、ネット上の情報操作に長けた団体が結果を左右したとされる例として、イギリスのEU脱退での「ケンブリッジ・アナリティカ」などの活動が紹介されました。技術革新が民主主義の発展に活かされず、逆に選挙や特に直接民主主義の困難性を増やしている事実が提起されています。また「安保3文書」など憲法と安全保障の問題について、憲法審で議論を深める必要があるという意見も出されました。

改憲派の拙速な議論の進め方により、民主主義的な政治プロセスに関わる、「言論の自由と人権保護の関係」など多くの重要課題に関する論議が深められず、貴重な時間が無駄に費やされていることに、憤りを覚えました。

【国会議員から】本庄知史さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会委員)

3月23日、日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正を巡る諸問題が議題ということで、我が国の安全保障との関係について発言しました。

■フェイクニュースなど国民投票と安全保障との関係について
まず、憲法改正の国民投票においては、広告放送を巡る議論と並んで、デジタル・デモクラシーの課題が大きな論点となります。特に、フェイクニュースをはじめとする悪意を持った偽情報の流布が及ぼす影響、そして、外国政府等の外部勢力による関与・介入の可能性と危険性について、十分留意する必要があります。

例えば、2016年米国大統領選挙におけるFacebook個人情報の不正利用、いわゆる「ケンブリッジ・アナリティカ事件」や、英国のEU離脱「ブレグジット」国民投票では、フェイクニュースが社会問題となりましたが、これらはロシアの関与が指摘されています。

ロシアについては、2014年のクリミア半島併合、昨年のウクライナ侵攻における、「ウクライナがロシア系住民を大量虐殺している」などのフェイクニュースもよく知られています。また、中国については、2020年の台湾総統選挙において拡散された「蔡英文総統が学歴詐称をしている」といったフェイクニュースへの関与などが指摘されています。我が国でも、昨年8月、当時の岸防衛大臣がウクライナを非難したかのように見せた虚偽のツイートが拡散されました。

憲法改正の国民投票に際して、こういった外部勢力の関与・介入によって、世論が操作され、投票結果に影響が出ることがあってはなりません。立憲民主党は、こういった問題意識から、国民投票広報協議会とファクトチェックを行う民間団体等との連携や外国人等からの資金援助の禁止などを盛り込んだ国民投票法改正案を提案しています。

他方、政府の側でも、昨年12月の「国家安全保障戦略」において、「偽情報の拡散も含め認知領域における情報戦への対応能力を強化する」としていますが、国家による恣意的な情報統制につながらないよう、十分留意しなくてはなりません。
以上を踏まえ、日進月歩のインターネットやデジタル分野に係る憲法改正国民投票の課題について、安全保障の観点からも議論を重ね、必要十分な法改正を行うことが必要であると考えます。

※なお、「存立危機事態におけるミサイル反撃能力行使と憲法の関係」についても発言しました。詳細はインターネット「衆議院TV」のアーカイブ動画、議事録をご覧ください。

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