反原発

2020年10月01日

〔本の紹介〕反原発運動四十五年史(緑風出版)

反原発運動四十五年史

西尾 漠 著

2019年11月で反原発運動全国連絡会が発行する「はんげんぱつ新聞」が、500号を迎えた。1978年5月の創刊から四十年余の間、全国各地の運動の現場から闘いの「いぶき」を伝えてきた「はんげんぱつ新聞(当初は反原発新聞)」から、運動の現場の声で反原発運動を足跡をまとめたのが「反原発運動四十五年史」である。

私も反原発運動にかかわり始めたのが、1979年のスリーマイル島原発事故(TMI事故)の後、太平洋への放射性廃棄物の海洋投棄問題が持ち上がったころからで、その後の運動の場にも度々足を運んだ。まさに私にとっても多くの部分が同時代的な出来事で、本書を読みながら「そうだったよな」とあらためて当時を思い出した。

常に運動の現場に寄り添っていた西尾漠さんだからこそ現場の感覚でまとめ上げたもので、これまで多くの研究者が書いた運動史では、どうしても現場の感覚と違う違和感を覚えることが多かっただけに本書の方が運動史としてしっくりときた。

「はんげんぱつ新聞」の創刊前の反原発運動はどうしても通史的になってしまうが、「一九四五年~一九七三年 前史二〇年」そして「一九七四年~一九七八年 運動の全国化」として描かれている。その中で私たち原水禁運動の果たしてきた役割が大きいことがわかる。運動の諸先輩方が原水禁大会に反原発課題を取り上げ、各地の運動でも労働組合がその中心で頑張ってきたことがわかる。反原発運動は全国に広がってもまだまだ少数派であったが、それでも多くの原発建設予定地で白紙撤回を勝ち取ってきたことも重要な事実である。

原発は「安全神話」を基に進められてきたが、1979年のTMI事故、1986年のチェルノブイリ原発事故、1995年のもんじゅナトリウム火災事故、1999年のJCO臨界事故、そして2011年3月の福島原発事故と「安全神話」を覆す事故が続いてきた。世論の流れも大きく変化した。しかし、いまだ政府・電力業界は原子力推進政策に固執しつづけている。

来年の2021年は福島原発事故10周年にあたり、国や東電の原発事故加害者としての責任を明確化していくとともに、原子力政策の転換を図ることが必要だ。本書を通じて、あらためて反原発運動の流れを振り返り、脱原発へ向けての確信を強めたい。(井上 年弘)

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