憲法 | 平和フォーラム

2024年04月12日

憲法審査会レポート No.34

4月10日、参議院憲法審査会が開催され、幹事選任の手続きのみ行われました。また、11日には衆議院憲法審査会で自由討議が行われました。

2024年4月10日(水) 第213回国会(常会)
第1回 参議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7868

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

参院憲法審、今国会で初開催 幹事を選任、進め方協議へ
https://mainichi.jp/articles/20240410/k00/00m/010/235000c
“参院憲法審査会が10日、今国会で初めて開かれ、幹事選任の事務手続きを実施した。終了後に与野党の筆頭幹事が会談し、17日に幹事懇談会を開く方向で調整することを確認した。”

参院憲法審が初開催
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041000532&g=pol
“幹事の選任のみで、約2分で散会となった。審査会後、与野党の筆頭幹事が協議し、17日に幹事懇談会を開いてその後の日程や議題を話し合うことで合意した。”

辻元清美氏が筆頭幹事…野党「護憲シフト」 参院憲法審の実質審議は見通せず
https://www.sankei.com/article/20240410-724GSCP2R5KSPIL27UP3UD76JY/
“衆院憲法審に比べて議論の遅れが指摘されている中、参院立憲民主党は「護憲シフト」を押し出している。参院公明党も憲法改正には慎重な立場との見方が根強く、活性化は困難との空気が漂っている。”

2024年4月11日(木) 第213回国会(常会)
第2回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55137
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

緊急事態条項で起草委 自民提案、立民は難色―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024041100894&g=pol
“衆院憲法審査会は11日、今国会初の自由討議を行った。大規模災害時の国会議員任期延長など「緊急事態条項」を創設する憲法改正に関し、自民党は条文案の起草委員会を立ち上げるよう主張。立憲民主党は難色を示した。”

衆院憲法審 自民「国会機能維持の条文起草作業を」、立憲「不見識」
https://www.asahi.com/articles/ASS4C319JS4CUTFK002M.html
“衆院憲法審査会が11日に開かれ、今の国会で実質的な討議が初めて行われた。憲法改正に向けた原案づくりに自民、公明両党と、日本維新の会、国民民主党が前向きな考えを示した一方で、立憲民主党と共産党は改めて反対を主張。先行きは見通せない。”

「裏金問題解決できないのに改憲を論ずる正当性なし」衆・憲法審で立憲が批判
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000344701.html
“自民党 中谷元衆院議員
「幅広い会派間で憲法改正原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案を致します」”
“立憲民主党 逢坂誠二衆院議員
「裏金問題の解決もできず、自浄作用のない自民党が憲法改正を論ずることに正当性があるのでしょうか」”

改憲案の起草委設置を自民が提案 立民反発 募る維新や国民民主の不満 衆院憲法審
https://www.sankei.com/article/20240411-U7R636PVGVOV5FMJC447GPSJNY/
“「幅広い会派間で憲法改正原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案する」。中谷氏は衆院憲法審で、幹事懇談会を念頭に置いた起草委設置を提起した。憲法への自衛隊明記に関しても条文化を進めたいとの意向を表明。”

国と自治体が上下関係…「自治権の保障が壊れる」 政府が目指す「地方自治法改正」、衆院憲法審で異論
https://www.tokyo-np.co.jp/article/320695
“立憲民主党の近藤昭一衆院議員は11日、衆院憲法審査会の自由討議で、政府が今国会成立を目指す地方自治法改正案への懸念を示した。「強大な政府の権限をより強大にし、政府と地方自治体の関係に上下関係を持ち込むことになるのではないか」と述べた。”

【傍聴者の感想】

きょうの憲法審査会では、まず自民党の中谷筆頭幹事が「緊急時の国会機能の維持について、いつでも条文起草作業に入れるところまで議論が進んでいる」と述べました。馬場代表はじめ日本維新の会の幹事は、立憲民主党と日本共産党に対して「憲法改正のブレーキとなっている」と批判すると同時に、自民党に対しても「立民とのなれあい」をやめ、改正原案の合意に向けた動きを促していました。さらに、自民党の中谷筆頭幹事が緊急事態条項の起草委員会の創設に言及したことを「評価」し、スケジュールの提示と具体的な条文案を「テーブルに乗せる」ことを求めていました。ほかにも、維新の会や国民民主党からは、岸田首相の施政方針演説における「任期中=9月」という発言を言質とし、その具体化を求める発言が相次ぎました。

改憲政党の前のめりな姿勢に対し、野党筆頭幹事の逢坂衆議院議員は「憲法改正の主体は主権者である国民だが、それがゆらいでいる」と、憲法を変えることそのものが自己目的化している問題を指摘していました。共産党の赤嶺幹事も「国民の側から改憲を求める声はない」と訴えていました。

大規模災害の発生時の国会議員の任期、選挙の実施をめぐり、東日本大震災当時の自治体議員選挙について言及がありました。国会議員の任期については憲法で定められていることから、東日本大震災の発生後の2011年11月に当時の野田首相から特例法による国政選挙の延期、国会議員の任期の延長はできないという答弁が示されています。ここが改憲派の憲法改正の必要論の根拠の一つとなっていると思われます。

これを聞き、私自身は1995年1月に発生した阪神淡路大震災を思い出しました。同年4月に予定されていた統一自治体選挙のうち、兵庫県議選、神戸市議選、芦屋市議選、芦屋市長選、西宮市議選は特例法が成立し、4月から6月へと延期されました。1999年の選挙の投票期日は4月へ戻されましたが、当該自治体の議員の任期は後年にあらためて特例法で調整した経緯があります。私が関わった兵庫県議選を思い出すと、被災地で有権者の投票の権利をどう保障するかが大きな課題だったように記憶しています。候補・選対では、倒壊・焼失した自宅から避難した支持者の消息がつかめませんでした。これを有権者の側から見れば、震災発生から6カ月が経っても雇用や住宅をめぐって生活が困難な状態のままに置かれ、もとの生活が取り戻せていなかったということです。

東日本大震災や能登半島沖地震などその後の大規模災害では、人員削減により各自治体の行政機能が劣化している状況が指摘されています。インフラの再建の遅れも大きな問題です。政治に求められるのは議員の任期や選挙の期日をめぐる議論ではなく、大規模災害の発生時に行政が地域の復旧・復興に向けて確実に機能し、被災者の暮らしがいちはやく安定し、再建される社会をつくることです。

また、大規模な地震をはじめ災害の発生そのものは避けることはできませんが、戦争は平和運動の強化によって避けることができます。有事を口実にした改憲に向けた動きを許さない運動が求められている、ということが立憲野党の幹事から「主権者たる国民」への提起だったように思います。

【国会議員から】近藤昭一さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会委員)

4月11日、衆議院憲法審査会で私は以下の趣旨の発言をしました。

1.地方自治法改正案が閣議決定され、3月1日、国会に提出されました。

この法案については、総務委員会でしっかり議論されるものと思いますが、私は、憲法92条に定めた地方自治権の保障の観点から、国会法102条の6に規定されている審査会の目的のうち「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うこと」に関連した問題と考え、発言します。

2.そもそも、日本国憲法に、大日本帝国憲法に定めのなかった地方自治の制度の規定を設けこれを保障した意義は、第一に、中央政府から独立した地方公共団体が地方の事務を処理することによって強大な中央政府の権限を抑制すること、第二に、地域の特性に応じて処理されるべき事務は、そこに居住し、生活する住民の意思に基づいて決定し、住民の権利を保障することと言われています。前者が地方自治の分権的側面を示す団体自治であり、後者が地方自治の民主主義的側面を示す住民自治です。

こうした意義をよりよく果たしていくために重要なことは、強大な中央政府と地方自治体が対等平等な関係に立つことです。

ところが、今回の地方自治法の改正案は、強大な中央政府の権限をより強大にし、中央政府と地方自治体との関係に「上下関係」を持ち込むことになるのではないかという危惧を抱かざるを得ません。

3.具体的に地方自治法改正案の条文を見ていきます。

改正の中心は、「第14章 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方公共団体との関係等の特例」を新設することです。

252条の26の3から252条の6の10までですが、いずれも「大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合」に適用されます。

災害や感染症に限らず「その他」にも適用されるので、適用される事由は無制限です。戦争や内乱なども含まれるでしょう。また、被害の程度が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」というのは、一般抽象的で恣意的運用の可能性が大です。しかも、その「おそれ」がある場合、つまり現実の被害が生じていなくても適用され、運用の恣意性は無制限に膨らむのではないでしょうか。

こうした恣意的運用の危険が大きい「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」に生じる法律効果は、国が地方公共団体に対し、「必要な措置を講ずるよう指示ができる」(252条の26の4、5)というものです。この必要な措置の「指示」にも限定・制約がありません。

しかも、以上の第14章の規定は現行法の特則として新設されるので、新設される「指示」(ただし、法定受託事務に限られる、245の7)への地方公共団体の義務違反に基づいて代執行(245の8)のできる範囲も大きく広がるのではないでしょうか。

4.以上みてきたように、地方自治法改正案は、適用事由、要件、国に与える権限、いずれについても具体的客観的な制約がなく、地方自治体に対する国の指示権限を無制限に認めるもので、国と地方自治体の関係を大きく変容させ、憲法92条の地方自治権の保障を壊しかねない重大な問題を孕んでいます。また、立憲主義の見地からも到底容認できません。

玉城沖縄県知事は、代執行の濫発を招くのではないかとの懸念を示し、元鳥取県知事の片山善博氏は、時代を逆行させるものと断じ、日本弁護士連合会は、地方自治法改正案の原案となった答申に反対する立場から意見書を提出し、国の指示権を認める法改正案文の削除等を求める会長声明を発表しています。

憲法92条「地方自治の本旨」の原点に立ち返った真摯な調査と検討が必要です。

2024年04月05日

憲法審査会レポート No.33

4月4日、衆議院憲法審査会が開催され、幹事選任の手続きのみ行われました。来週の4月11日以降、この間のような定例的な開催になるのかが注目されます。

2024年4月4日(木) 第213回国会(常会)
第1回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55104
※「はじめから再生」をクリックしてください

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

衆院憲法審 今国会で初めて開催
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240404/k10014412211000.html
“今の国会で初めてとなる衆議院憲法審査会が開かれ、幹事を選任する手続きが行われました。今後の日程について、自民党は来週、審査会を開いて自由討議を行うことを提案し、立憲民主党は持ち帰って検討すると伝えました。”

衆院憲法審が初開催 裏金問題のあおり受け開催遅れ
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1095328
“衆院の憲法審をめぐっては、これまで立憲民主党などが委員のなかに自民党の派閥の裏金事件に関係した議員がいることから開催に反発。”
“自民党側が3日、処分の対象となった3人の議員を委員から外したことで開催にこぎつけました。”

衆院憲法審が今国会初開催、自由討議の11日開催で調整
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA03EMR0T00C24A4000000/
“逢坂氏は自民党の対応を「一定程度整理された」と評価した。不記載額が500万円以下だった議員2人が委員に就いたままだと指摘し「国民が納得するのか。与党には問題を明らかにしてもらいたい」とも言及した。”

衆院憲法審、11日に今国会初の実質審議へ 裏金議員の幹事3人交代
https://www.asahi.com/articles/ASS442DBVS44UTFK006M.html
“立憲の逢坂誠二・野党筆頭幹事は4日、記者団に「委員の正当性に異議があると申し上げてきたが、一定程度整理された」と理解を示した。自民の提案する11日の実質審議入りについて「今のところ開催できないという理由はない」と述べた。”

今国会初の衆院憲法審、首相の目標実現は視界不良 維新は立民を牽制「わきまえて」
https://www.sankei.com/article/20240404-N3RZBXETIFLIHG6SMINIXHQQNE/
“…自民は4日、党本部で憲法改正実現本部などの合同会議を開き、改憲項目の絞り込みなどの戦略を練った。党重鎮は首相の目標を念頭に「時間はそれほど残されていない」と述べた。”

【参考】

衆院憲法審の動き/逢坂誠二 #7765
https://ohsaka.jp/15414.html
“今回は、裏金処分議員3名の交代が行われたことを受け、一歩前進と受け止めて、審査会に臨むこととなりました。

しかし、裏金の説明は皆無、総理発言への対応も不明、さらに憲法審には処分は受けていない裏金議員がまだ2名おります。こうしたことを、これからも丁寧に与党筆頭と協議したいと思います。”

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著者:吉田はるみ(立憲民主党・衆議院議員)
新垣邦男(社会民主党・衆議院議員)
打越さく良(立憲民主党・参議院議員)
杉尾秀哉(立憲民主党・参議院議員)
飯島滋明(名古屋学院大学教授)
編集:フォーラム平和・人権・環境
発売:八月書館
内容:A5判並製・76ページ
定価:本体900円+税

2024年03月22日

憲法審査会レポート No.32

衆院憲法審査会開催をめぐる動き

この間、衆議院憲法審査会を開催しようという動きが続いてきました。3月21日には会長の職権で幹事懇談会が立てられましたが、野党筆頭幹事(予定)の逢坂誠二委員(立憲民主党)が出席を拒否、流会となりました。

改憲派は「裏金事件と憲法審査会は切り離すべき」「政局と一線を画して粛々と開催すべき」などと言いますが、裏金疑惑のある議員がいまだ委員として居座っている現状で不問とすることはできませんし、政局と一線を画すと言うなら自民党がみずから問題議員を全員更迭すべきです。

民意は改憲発議前提の憲法審査会早期開催など求めていません。むしろ裏金疑惑、統一協会との癒着疑惑の徹底究明こそが喫緊の課題です。腐敗した国会議員が憲法を語り、あまつさえ弄りまわそうなどというのはもってのほかで、「法を犯しているかもしれない議員を(憲法審査会に)存置したままというのは論外だ」という主張は当然と言うべきです。

3月17日、自民党大会が開催され、「総裁任期中」「年内の実現」と表現にブレはありつつも、ともかく改憲発議を叫びたてる方針を継続しています。こうした自民党の路線に急き立てられ、職権での強行開催へと突き進む可能性もありますが、その場合与野党合意のもと、静かな環境で…というこれまでの慣例を踏みにじることになります。

自民党などによる数に恃んだ横暴を許さないためにも、今後も憲法審査会をめぐる動向に、ぜひ注視していただきますようお願いします。

【参考】

立民、衆院憲法審の開催拒否 「裏金議員」説明を優先
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031200925&g=pol
“衆院憲法審査会の与野党筆頭幹事は12日、国会内で会談した。自民党の中谷元氏が14日の憲法審開催を提案したのに対し、立憲民主党の逢坂誠二氏は自民派閥の裏金事件への対応が先だとして応じなかった。”

改憲論議阻む「立民&共産」の壁 維新と国民民主は冷ややか 不記載事件理由に審議応じず
https://www.sankei.com/article/20240313-7YSFRRJL5JJ47BVTEWIXVHKG4A/
“…国民民主の古川元久国対委員長は13日の会見で、事件の追及は重要だと指摘しつつ、「憲法審の議論はやるべきだ」と強調した。また、維新の馬場伸幸代表も産経新聞の取材に「立民には付き合わない」と断言し、憲法審の早期開催を訴えた。”

憲法審査会の状況/逢坂誠二 #7743
https://ohsaka.jp/15378.html
“裏金はいくらだったか、裏金を何に使ったか、領収書はあるのか等の説明を通して、自分の正当性を主張する必要があります。
私は、憲法審の筆頭幹事として、この説明や正当性を主張する場として、政倫審への出席をお願いしています。特段、政倫審への出席にこだわるわけではありませんが、裏金の内容説明や自己の正当性の主張は極めて大事なことです。これがやれないなら5名の裏金議員が、憲法審において最高法規である憲法の議論を行うのは難しいと考えています。”

衆院憲法審、日程協議先送り 立共、「裏金事件優先」主張
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032101039&g=pol
“衆院憲法審査会は21日、森英介会長(自民)が職権で決めていた幹事懇談会の開催を見送った。与党は今国会初の審査会実施に向けて日程協議をしたい考えだったが、自民党派閥の裏金事件への対応が先決だとする立場を崩さない立憲民主党と共産党が欠席した。”

憲法審開催のめど立たず 裏金問題で野党が態度硬化「実態解明が先」
https://www.asahi.com/articles/ASS3P67CCS3PUTFK00H.html
“自民の中谷元・与党筆頭幹事は記者団に、政治とカネの問題は議論の場が別にあるなどとして、憲法審とは「切り離すべきものだ」と主張。だが、野党筆頭幹事に就任する見通しの立憲の逢坂誠二代表代行は「法を犯しているかもしれない議員を存置したままというのは論外だ」と反論。協議入りに応じなかった。“

恐ろしい?日本/逢坂誠二 #7751
https://ohsaka.jp/15400.html
“憲法審について、私が単に出席を拒否しているかのようは報道があります。
19日午後まで与野党筆頭間で憲法審の開催に向けて協議しておりました。
その時点での私の主張は次です。
*5名の裏金の内容説明
*裏金議員処分後の憲法審の対応方針
*岸田総理の憲法議論加速発言への対応方針
この3点を与党筆頭から伺った上で、来週28日の憲法審開催に向けて準備を検討しても良いと、私から話をしました。ところが19日夕刻、21日の憲法審幹事懇談会が、筆頭間の合意なく職権でセットされたのです。しかも懇談会で何を行うのかも知らされず。筆頭間協議の一方的な打ち切りとなったため、幹事懇談会に出席できるはずもないのです。これが経過です。
私から28日の憲法審の開催準備検討にも言及していますが、それすらも反故にしたのですから理解に苦しみます。”

総裁任期中の憲法改正へ議論加速と首相
https://nordot.app/1141929598847664926
“「党総裁任期中に実現するとの思いの下、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速する」”

自民党大会で首相が改憲に意欲 懸念は参院の「高い壁」 公明の対応が焦点
https://www.sankei.com/article/20240317-APE7NUTFZJIIZDZCWKBVE6XVDU/
“自民党は17日の党大会で採択した令和6年運動方針で、憲法改正に関し「年内の実現」を目指す考えを打ち出した。“

※改憲の時期的目標に関する共同記事(「党総裁任期中」)と産経記事(「年内の実現」)の齟齬は、大会における総裁演説の内容と、運動方針のなかの記述との不統一が原因です。

第91回党大会 岸田文雄総裁 演説(全文)
https://www.jimin.jp/news/information/207820.html
“そして、党是である憲法改正について、総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります。“

令和6年党運動方針
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/207758_2.pdf
“来年は、自由民主党結党から70年の節目の年である。本年中にわが党の党是である憲法改正実現のため、国民投票を通じ、主権者である国民の判断を仰ぐことを目指す。“

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2024年03月08日

憲法審査会レポート No.31

憲法審査会の開催めど立たず

前号(No.30)発行から1か月以上が経過しました。

3月2日には国会の土曜日開催の強行までしてなんとか衆議院での予算案採決を行い、現在参議院での審議に移っています(年度内成立は確定)。

例年であれば、この時期には憲法審査会開催に向けた動きも出てくるところですが、いまだ裏金問題や統一協会問題といった自民党の政治腐敗をめぐる追及が続いており、具体的な動きはありません。

とは言え、支持率低下のなかにあっても、あるいはそれゆえ求心力維持のためにか、岸田政権はなりふりかまわず悪法や改悪の強行へと突き進んでいます。「9月の総裁任期中」から「本年中に」(自民党運動方針案)と目標が後退しつつも、なおも改憲発議をスローガンに掲げ続けていますので、引き続きの注意・警戒が必要です。

【参考】

憲法審、開催めど立たず/立民硬化、交渉役も変更/首相改憲にハードル
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/1730377
“「筆頭間協議をする状況ではない」。2月上旬、与党筆頭幹事の中谷元氏(自民)が日程調整を打診したものの、野党筆頭幹事の逢坂誠二氏(立民)は突き返した。実質的な討議入りに先立つ幹事選任の事務手続きを行う審査会の開会すら見通せない状況だ。”

憲法学者らが改憲5会派に公開質問状 任期延長は「居座りの危険」
https://www.asahi.com/articles/ASS346K4PS34UTIL019.html
“自民党など5会派が「国家有事や大規模自然災害などの事態に備え、国会議員の任期延長を認める改憲が必要」と主張しているのに対し、「国民の選挙権を制限し、議員や政権が居座る『緊急事態の恒久化』の危険性にどう対処するのか」とただしている。”

法律を守れない国会議員「居座り続けられる」…緊急事態の任期延長、改憲に前向きな5党派が「回答せず」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/313085
“…緊急事態時の国会議員任期延長に関する公開質問状に対し、自民など改憲に前向きな5党派が回答しなかったと説明した。研究者らは会見で「裏金問題のように法律を守れない議員でも国会議員に居座り続けることができる」と任期延長を問題視した。”

自民運動方針案、保守層にアピール? 年内改憲、皇位継承議論、護国神社参拝など明記
https://www.sankei.com/article/20240305-3VB7N7AD5RLOVAXI2TRN5CGTRE/
“…憲法改正に関し「本年中に改憲実現のため、国民投票を通じ国民の判断を仰ぐことを目指す」と期限を明記した。3月17日の党大会で運動方針案を正式決定する。”
“憲法改正については、緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文起草のための機関を国会に設置し、改正原案を作成し、国会発議を経て国民投票で過半数の賛成を得られるよう「全力を傾注する」と強調した。”

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著者:吉田はるみ(立憲民主党・衆議院議員)
/新垣邦男(社会民主党・衆議院議員)
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編集:フォーラム平和・人権・環境
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内容:A5判並製・76ページ
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2024年03月07日

ブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』のご紹介

平和フォーラムはこの間、改憲発議をめぐる重要な局面にあることを踏まえ、国会における改憲議論、とりわけ衆参における憲法審査会の動向に注視し情報共有をすすめてきました。

その一環として、昨年11月に新潟市で開催した第60回護憲大会では、新垣邦男さん(社会民主党・衆議院議員)吉田はるみさん(立憲民主党・衆議院議員)打越さく良さん(立憲民主党・参議院議員)杉尾秀哉さん(立憲民主党・参議院議員)をパネリストに、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)をコーディネーターに迎えてシンポジウムを行い、憲法審査会の危険な現状を把握し、改憲発議阻止に向けともにとりくむ決意を確認しました。

このたび、このシンポジウムの内容をまとめたブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』が刊行されましたので、ご紹介します。

ブックレット『その改憲、ちょっと待った! 憲法審査会は今』

著者:吉田はるみ/新垣邦男/打越さく良/杉尾秀哉/飯島滋明
編集:フォーラム平和・人権・環境
発売:八月書館
内容:A5判並製・76ページ
定価:本体900円+税

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2023年12月08日

憲法審査会レポート No.29

今週は参議院・衆議院ともに憲法審査会が開催されました。今臨時国会は12月13日閉会予定ですので、今国会での憲法審査会はこれをもって終了の見込みです。

【参考】

首相 緊急事態条項など4項目の憲法改正案踏まえ 絞り込み指示
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231205/k10014278941000.html
“憲法改正に向けた自民党の会合で岸田総理大臣は、党としてまとめている「緊急事態条項」など4項目の改正案を踏まえ、党派を超えて連携できる項目を絞り込むよう指示しました。”

憲法改正「項目取りまとめを」 岸田首相、実現本部に出席
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120500918&g=pol
“内閣支持率が低迷する中、改憲に本気で取り組む姿勢を保守層にアピールする狙いがある。古屋圭司本部長は「(会議への出席は)党総裁としての思いを象徴している」と記者団に語った。”

憲法審査会が給料ドロボーと呼ばれないように
https://www.sankei.com/article/20231202-M7VE32UPQVLI7BYDZTTMWUGPWU/
“「実現できなければ、岸田文雄政権は終わり。はっきり言って、完全に終わりだ」。自民党の憲法改正推進議員連盟の衛藤征士郎会長は11月30日、断言した。首相が来年9月までの党総裁任期中の実現を目指す憲法改正について、である。強烈な言葉だが、「やるやる詐欺」にうんざりしている国民感情を代弁している。”

改憲実現に課題山積の自民 高村正彦元副総裁が公明と調整へ
https://www.sankei.com/article/20231207-YYHGW5MVZNKYZB6PPAXI7ECD7A/
“ただ、臨時国会は改憲案作りが具体化しないまま終了する見通しで、改憲を期待する他党や保守陣営では自民に対し、不信感が芽生えつつある。維新や国民民主などは自民の本気度が見えない場合、改憲の可否を問う国民投票に向けたスケジュール設定や定例日以外の憲法審の開催、閉会中審査などを求める書面を突き付ける構えだ。”

2023年12月6日(水)第212回国会(臨時会)
第2回 参議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7679

【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

参院 憲法審査会 憲法9条改正などめぐり各党が主張展開
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231206/k10014280031000.html
“参議院の憲法審査会で自由討議が行われ、大規模災害など緊急事態での国会の機能を憲法に規定するかや憲法9条を改正して自衛隊を明記するかなどをめぐり各党が主張を展開しました。”

自民、条文案へ作業部会提案 参院憲法審、立民反発
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120600928&g=pol
“自民党の衛藤晟一氏は、緊急事態条項の創設や自衛隊の明記を挙げて、作業部会の設置を主張。「憲法改正原案を具体的に詰める」と強調した。”
“これに対し、立民の辻元清美氏は自民党派閥の裏金疑惑に触れ、「政治の信頼なくして憲法論議は成り立たない」と反発。”

参院憲法審 改憲に積極的な4党、緊急事態条項議論で温度差
https://mainichi.jp/articles/20231206/k00/00m/010/167000c
“自民、日本維新の会、国民民主の3党は、選挙の実施が困難な時に特例的に衆院議員の任期を延長する緊急事態条項創設に向けた早期の条文案作成を主張。一方、公明党は、衆院議員不在時の国会機能を代行する憲法54条2項の「参院の緊急集会」の権限も含めた議論の継続を求めた。衆院では条文案作成の方向で共同歩調をとった4党だが、参院では歩みに乱れが生じた。”

【傍聴者の感想】

12月6日の参議院憲法審査会では、各会派による憲法に対する考え方の表明から始まり、その後各委員から個別案件について意見表明が行われました。

与党会派は、自衛隊明記、緊急事態条項について憲法改正が必要であることが強く訴えました。また、憲法改正原案を作る作業チームを作り、具体的に進めていくべきと主張しました。

野党会派からは、パーティー券による裏金問題が起きていることを挙げ、そもそも憲法改正議論をする以前に「政治に対する信頼」という土台が成り立っていないと意見が出ました。

各委員からの発言が次々に行われましたが、やや感情的な発言が続きました。中曽根弘文会長(自民)が、委員からの発言や提案のうちの一部については「幹事会で取り扱う」としたうえでこの日の審査会は閉会しました。

初めての憲法審査会傍聴でした。参議院では比較的落ち着いた議論であると聞いていましたが、一度の発言に言葉を詰め込み、意見をぶつけ合う姿勢には驚きました。

とくに印象的だったのは、片山さつき議員(自民)が国防について「9条の通りにはなっていません」と言い切り、場内がざわつく場面でした。

ほかにも衛藤晟一議員(自民)の「崇高な仕事である」という理由から自衛隊を憲法に明記する必要があるとし、「集団的自衛権を全面的に認めるべき」だという主張。

松川るい議員(自民)の「憲法改正に意欲的な政党が多い」ことを理由として9条改憲を急ぐべきだという主張。

さらに古床玄知議員(自民)からは裁判所が積極的な憲法判断をするようになれば「自衛隊が憲法違反となる可能性があるため早く改憲すべき」という本末転倒な主張がありました。

改憲ありきの思惑ばかりが先走り、乱暴な改憲根拠を並べ立てる様子は、あきれるばかりでした。

高木真理議員(立憲)が「教育の無償化にかこつけた改憲議論は許されない」と指摘していましたが、誰も異論をはさめない課題で改憲につなげるようなやり方は、改憲がなし崩し的に行われていってしまうのではと心配になります。本当に憲法改正が必要なのか、法改正で対応可能なのか、腰を据えた議論こそ必要なのだと思います。

自分にとって都合のいい意見だけに耳を傾けるような政治では、決してよい未来は拓けません。改憲こそ日本全体の総意だと言わんばかりの主張がされている憲法審査会の現状は、広く共有されるべきだと思いました。

【国会議員から】小沢雅仁さん(立憲民主党・参議院議員/憲法審査会委員)

議員任期延長改憲論について意見を申し上げます。

任期延長改憲の論拠となっている緊急集会70日間限定説は、憲法審で改憲を主張する会派の説明では、54条1項の40日プラス30日という文理解釈によってのみ、緊急集会を次の新しい国会が70日以内に召集されることを前提とした平時の制度と断定するものです。

しかし、こうした憲法解釈は、54条2項の国に緊急の必要があるときという文理や、緊急集会がナショナルエマージェンシーという大震災等の深刻な国家緊急事態にも対処する有事の制度として制定された立法事実に明確に反する上、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するなどの戦前の反省に立った非常時の権力濫用の排除です。

また、54条1項の40日プラス30日という規定の趣旨は、解散・総選挙の際の内閣の居座りを排除するものであり、権力の濫用を排除するために設けられた緊急集会の根本趣旨そのものにも全く反します。

すなわち、緊急集会は、1日も早い総選挙の実施を必須としつつ、その間に緊急性を要する立法等を行う必要がある場合に限り、70日を超えても開催できると当然に解すべきものです。にもかかわらず、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨に一言の言及もないまま、70日間限定説を繰り返すのは、緊急集会を恣意的に曲解するもので、濫用排除の制度を破壊して濫用可能な憲法改正を行おうとするものと断ぜざるを得ません。

憲法99条の憲法尊重擁護の義務と立憲主義に反する暴論は国民と参議院を愚弄するもので、我が会派は絶対に容認できず、議員任期延長改憲には明確に反対します。

緊急時における衆院の任期延長は、憲法制定時の経緯や国民主権、基本的人権の尊重、国会中心主義のいずれの観点においても重大な問題をはらむものと言わざるを得ません。

改めて議員任期延長改憲には断固反対を申し上げて私の意見とします。

(憲法審査会の発言から)

2023年12月7日(木) 第212回国会(臨時会)
第5回 衆議院憲法審査会

【アーカイブ動画】

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54808

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【会議録】

※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)

【マスコミ報道から】

国会議員の任期延長 自民 憲法改正条文案の起草機関を提案
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231207/k10014281041000.html
“衆議院憲法審査会が開かれ、大規模災害など緊急事態での国会議員の任期延長をめぐり、自民党が憲法改正の条文案の起草作業を行う機関を設置するよう提案したのに対し、立憲民主党は現時点で憲法に明記する必要はないと主張しました。”

自民、改憲へ作業機関の設置提案 緊急事態巡り条文案作成
https://www.47news.jp/10231446.html
“与党筆頭幹事を務める自民党の中谷元氏は、緊急事態時の国会議員任期延長や衆院解散禁止などの改憲条文案を作成するため、来年の通常国会で作業機関を設置することを提案した。日本維新の会と国民民主党も賛同した。”

自民、条文起草へ機関設置提案 衆院憲法審、緊急事態条項を想定
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023120700951&g=pol
“審査会後、自民・中谷氏は記者団に、起草機関について、立民の関心が高い「デジタル時代における人権保障」も取り扱う可能性に言及し、立民の理解を求めた。臨時国会での実質的な討議は、今回が最後の見通しだ。”

【傍聴者の感想】

今国会では初めて傍聴しました。

自民党からは緊急事態時の国会議員任期延長や衆院解散禁止などを中心に条文案作成の作業を行う機関設置を提案し、これに公明・維新・国民が賛意を表明するなど、改憲発議に向けた具体的なステップを進めようという方向性が顕著にあらわれていました。

ただ、それぞれの発言内容をみると、改憲それ自体が目的となっているのかどうかという点においては、改憲派のなかでも傾向が分かれている雰囲気を感じました。

改憲のためにスケジュール優先で手続きを事務的に進めるのか、一定議論を積み重ねたうえで進めるのか、という違いもあるように感じます。

時代とともに従来の制度だけでは解決できない問題も多々出てきていると思いますが、改憲それ自体を目的とせず、時代と社会環境の変化をしっかり見据えたうえで、その改善に向けた議論を行うべきだと思います。

一部改憲派野党の議員の私語は、議事進行のみならず、傍聴にも差し障りが出るもので、憲法審査会に対する向き合い方が問われているように感じました。

【国会議員から】中川正春さん(立憲民主党・衆議院議員/憲法審査会幹事)

今日は、今国会最後の発言の機会をいただきましたので、憲法審査会の在り方と議論の進め方について、先日の北側幹事の問いかけに答える意味も含め、基本的な認識を共有していきたいと思います。

憲法をテーマにして、各党の政治的な立場を主張することは、もちろん否定されることではありません。その上で、私たちの憲法審査会では、何を行ってきたのか。もう一度、ここで確認してみたいと思います。

これまでの審議過程の中では、少なくとも我々与野党の筆頭幹事の間では、一つの共通した認識がありました。それは、憲法議論では、国民の分断を引き起こすようなことがあってはならないということです。だから、各党が策定した具体的な憲法改正案を、この審査会に正式な形で提出して、多数決でもって決していくことは、しないという暗黙のルールが尊重されてきました。憲法改正の議論は、出来得る限り幅の広い合意を形成することを目指すこと。その合意のもとに、幹事会なり、特別の小委員会なりを作って、それぞれ話し合いのもとに、憲法改正素案を練っていくことが前提になっていると理解しています。

時に、審査会の自由討議に対して、それぞれが言いっぱなしで何も出てこないではないかと批判する人がいます。しかし、これまでの、私達筆頭幹事間での理解は、違います。それぞれ、議員個人として、または党としての場合もありますが、自由討議で表明されたのは、審査会の委員による様々な立法事実とその解決策の提起だったと思っています。現在の憲法に照らして、憲法違反と判断される現実が指摘されたこともある。あるいは、時代の変遷の中で、これまで憲法によって捉えられなかった新しい課題が生じ、憲法改正の必要性が主張されたこともあります。私達の課題は、これらの議論を、どのように発展させていくかということだと思います。

以上のような前提に立って、これからの憲法審査会の進め方として、主に二つの作業を進めることを提案します。

まず一つは、それぞれ提起される課題について、その課題ごとに、どこまで広い合意が可能となるのか、積極的に見極めていくプロセスは必要だと思います。

9条関連、解散権、憲法裁判所、人権委員会、情報分野の人権保障、環境権、一票の格差と地方分権、教育の無償化、同性婚など、それぞれの課題にどこで大方の合意を見出すことができるのか。さらに、幹事会の合意を前提として、次のステップに移って行けるのか。もう少し焦点を絞って、深掘りのできる議論をしていく必要があります。

そのためには、自由討議において、具体的な課題を絞って議論を集約することで、それぞれの方向性を確認していく作業が必要だと思います。ただし、特に、前回の審査会において北側幹事からも指摘のあった、緊急事態条項については、現時点では、私達は憲法に明記する必要はないと考えていることを、これまで何回も申しあげてきました。この課題については、合意が見えていないと判断しています。

今の時点で意見集約できそうだと思われる課題は、国民投票法に関連した見直し作業です。この課題については、特に、ネット社会の進展などによって、当初の国民投票法のあり方では公平、公正な国民投票の実施が出来ない、新しい要素を入れた見直しが必要だという方向性は、確認できていると思います。その原案作成のための作業部会などの設置も含め、前に進めることが出来るのではないでしょうか。

第二に考えていかなければならない事は、国民との対話です。多くの皆さんに指摘されているように、憲法議論に対する国民の関心は、まったく低いものだと思います。この現状を踏まえれば、憲法改正ありきを前提に、それを政治キャンペーン化して利用することは、厳に慎まなければならないと思うのです。

具体的な憲法課題を抜きにして、単に、憲法改正に賛成か、それとも反対かの2極化した世論形成は、国民の中の憲法議論を空洞化します。私達が、審査会の議論で抽出した憲法課題を、国民に投げかけて、幅の広い議論を喚起することを考える必要があります。憲法学者だけでなく、それぞれの分野での有識者を交える討論会や、地方での公開の公聴会の開催などと同時に、マスコミを通じた広報などを提案します。

国際的にも様々な課題に直面している時です。憲法を通じて、私たちの基本的な「生き様」を再検証し、次の時代の生き方を示していけるような審査会の議論にしていきたい。その思いをもって私の発言といたします。

(憲法審査会での発言から)

2020年02月12日

憲法と建国の日を考える集会(2020)

日本と韓国の今

徴用工裁判に端を発するかに見える日韓の対立は、植民地支配の歴史に向き合えず、個人請求権の存在を認めてきた従来の見解をも無視する日本政府の頑なな姿勢が原因です。民主化を市民が勝ち取ってきた韓国とは対象的に、日本は安倍政権の権力私物化、歴史修正主義の横行、天皇の代替わりの式典で「天皇陛下万歳」が48回も繰り返されるなどの異様な空気が支配しています。戦前の紀元節をルーツとする建国記念の日の2月11日、新憲法の中での天皇制の位置づけをしっかりと考えてこなかった反省も含め、日韓の将来を見据え、若い世代も交えて議論する場を持ちました。会場の日本教育会館の会議室では、満員で立ち見の出る160人以上が参加しました。以下に大まかな内容をまとめました。(文責・編集部)

第1部 シンポジウム─日韓に壁はあるか 交流の現場から考える


憲法と建国の日を考える集会

藤本 平和フォーラム代表
日本では戦前の紀元節を建国記念の日として、恣意的に2月11日を祝日にし、天皇制が無自覚に維持されていますが、韓国では3.1独立運動を記念する日やパリボクァンボク(?)8月15日など歴史的に意味のある日を記念日にしています。日韓の現在の関係悪化を招いた背景には、戦前から続くアジア蔑視、復古主義があるのでは無いでしょうか?
安倍政権の中枢にいる「こども」に見える人々の考えで、単純に気にいらないから韓国制裁をやっているように見えます。韓国では日本のビール不買によって、今は中国のビールがシェアを取っている状況、韓国から日本への観光客25%減など含めて、65年以降最悪の二国間関係になっています。もともと日本は朝鮮半島を通して多くの文化を吸収してきた歴史があり、これからの日韓を見通すような議論をしたい。


矢野秀喜さん

朝鮮人強制労働被害者補償立法を目指す日韓共同行動事務局長 矢野秀喜さん

徴用工の裁判などを通して、朝鮮人強制労働被害者の問題をどう解決をしていくかという立場。今の日韓関係は1965年の国交正常化以来、最悪の状況にある。日本の国の中に、過去の植民地支配を整理しきれていない、熾火のようにあったものが吹き上がってきたようだ。
壁はあるか?という問いには、そうでもないと言える。
韓国大法院の判決の出た日本製鉄に名前を変えた新日鉄住金の他にも、三菱や名古屋に動員されていた女子勤労挺身隊でも判決がでている。
歴史的に画期的な判決がでたが、被害者の権利は解決していない。どう履行していくのかが問題。1939年から45年の間に、80万人の強制労働被害者がいる。その中で、自分の親、おじなどが強制連行されたと申告して認定された数は14万人、権利回復はごくわずかしかない。
この判決を契機に具体化を望んでも、安倍政権のもとでは難しいのが現実。
一方、大学の授業などで話すと、理解が広がる手応えもある。昨年9月21日に日韓学生の討論集会を開催した。韓国からこのために来日した方が3名、留学生やハン・ヒスさんも参加した。そこでの話を聞くと希望はある。政府間の対立はあっても若い方が乗り越えていってくれるのではないか。
ある日本の学生の発言を紹介すると、韓国に滞在していた際、8月15日は、日本人は危ないと言われて一時帰国をしていた体験がある。討論中には「国が同意したものを、必要以上に掘り返すのは良くない」と発言、討論の終わったあとには、「徴用工問題は、解決策が必要だと思った」と発言、考えが変わったことは評価できるのではないか。その他の方の発言では、「なぜ被害者家族が裁判を起こしたのか、理解できた、日本の報道ではわからない」といったものや「今、海外から働きに来ている多くの人の扱いが酷い、昔の徴用工と通底している、歴史から学ぶ必要があるのでは?移住労働者拡大政策をとる安倍政権で必要だと思う」など。若い世代には、安倍政権の支持者多いと言われるが、人権意識は定着しているのではないか。
一方、1年3カ月ぶりに実現した中国・成都でのムン・ジェイン、安倍会談に関して、世論調査で「譲歩してまで改善急ぐな」とするものが64%もあるのが現実。


カン・ヘジョンさん

アジアの平和と歴史教育連帯 国際協力委員長 カン・ヘジョンさん

歴史認識、歴史教科書の捻じ曲げを韓国の側から取り上げ、日韓市民の間では理解を広げてきたつもりが、この対立の事態になってしまった。この100年の歴史の流れで見ると、2、3度の変換があった。
日清、日露の戦争で、朝鮮半島を舞台に戦争が行われたこと、1945年の植民地解放までは支配した側とされた側の関係が続いた。サンフランシスコ条約で日本は、戦争をした責任を一定程度、「ここまで」認めることでケリを付けた形だが、植民地支配された側は会談のテーブルにも付けずにおわった。植民地支配の問題は、米国の関心ではなかった。
戦後の歴史の中で、日本は、植民地支配の問題を国際社会から一度も問われていない。日韓政府も不問にしてきた。
このまま放っておくだけではいけないと言う認識。65年体制を補完する形となったのが、95、97年体制と言われる、村山富市内閣や金大中大統領の頃。日韓の間では、2トラックで、歴史と、経済・政治は別に扱ってきた。去年7月にこれが崩れた。
日本政府は、歴史認識が気に入らない、これを経済で制裁する。

日本の世論は、韓国にも伝わっている。韓国から見た疑問は、日本は、本当に「まるごと安倍」なのか?というもの。
時々パラパラと矢野さんや藤本さんがニュースに登場することで、そうではないということが分かる程度。
韓国社会の市民が、政府をどう作っていったかという歴史、司法・立法・行政、すべて立て直した。市民がどうアップグレードしたのかが、日本に伝わっていない。ろうそく革命のことも。
政府にそそのかされて市民が煽られているというのが、日本の報道だ。
韓国では、被害者を慰め、権利を回復してきた歴史がある。
韓国の市民からは、安倍政権が理不尽なことをしている、植民地に対するようなやり方に反対している、という意思表示だ。市民が集って数になれば伝わるということを経験してきた。それが、2017年に成果となった。
嫌韓を煽る日本とのギャップが大きい。
韓国では、社会の声が、ろうそくの市民が作った政権であり、市民の声を具現する政権という意味合いがある。
壁はあるか?という問いには、壁がないとは言わないが、なんの前提もなしに、壁が存在しているわけではない。市民の間で壁を乗り越えるための信頼、理解が重要。壁や対立があったほうが社会体制を維持しやすいというものに反対する。


渡辺美奈さん

女たちの戦争と平和資料館<wam>館長 渡辺美奈さん
日本の市民が気づいていないことは、「韓国の市民がアップグレード」したこと。
壁はどのようなものかという問いかけに対しては、市民社会に何が必要か考える素材を提供したい。
壁とは、隔てるもの、違いが決定的で乗り越えられないようなもの。
男女の壁や、世代間など、違いはあるが、命や権利を守ろうとする動きの中では、その違いは小さい。
不作為が壁を高くしている
「だったら結婚するな」という国会でのヤジがあったが、これなどは、決定的で乗り越えられないようなものかもしれない。
日韓問題として、メディアにすり替えられているものがある。反安倍を言っているのに、「反日」と報道される。これは、ヨーロッパなどでの「反トランプ」は反米ではなくそのままほうどうされるのに、韓国では反日として、日韓問題としてメディアによって空気が作られている。
人間の命が国家より大事だという認識でつながることで、これを断ち切る事ができるのでは。
メディアに対しては、いつも私の語ったことそそのまま伝えてくれるのかという疑問を持ちながらも対応している。
世論を動かす力を持っていることをジャーナリストとして認識していないのではないか。
アジア蔑視と、歴史を学ばないことが車の両輪のように働いている。市民社会も実態を知らないで、65年で解決積みとしている。
何が大切なのか。第一に、「まず聞く」ということ。会場で配られた、wam 第16回特別展チラシのタイトルにも朝鮮人「慰安婦」の声を聞く、とあるように、声を聞くこと。これが基本のキ。
朝日の折々のことばで紹介されていた「何を言っているかではなく、その人間が何を聞き取る人間であるのかを注視していれば間違う確率は少ない。」という言葉のように、「聞き取る」能力、意志が重要。市民が言葉の使い方に気をつける。SNSでも。メディアがやらないのであれば市民個人がやる。
2015年の日韓合意に基づいて設立された「和解・癒やし財団」については、国家間で約束された基金を解体、終止符を打つのは大きな力が必要だった。
次に、「終わらないことをひきうける」こと。
かんたんな「解決」ではない。ポーランドでドイツ大統領が演説しポーランド国民に許しを求めたり、メルケル首相がアウシュヴィッツ強制収容所跡を訪問して演説し「責任に終わりはない」と語ったり、歴史の中で何をしてしまったのか、を繰り返し語ることが、ドイツの中でネオナチが台頭しているような状況で、たいせつなことだ。一つの時点を区切りにしながら、終わらないことをひきうけることが大事。

藤本 中国に対しては、対戦国であったために、強制連行問題で和解が成立した部分もある。植民地支配の日本の感覚はどういうものか。

矢野 日本は総力戦を戦っていた、中国に710万人の兵力を送っていて、これが人口の1割ほど。国内の労働人口が足りないので、強制動員にむすびついた。
東京裁判が有名だが、極東国際軍事裁判のひとつ、横浜法廷で強制連行が取り上げられている。外務省が報告書を作り、135企業が関与、中国人労働者4万人弱を認めている。強制連行の事実は否定できない、鹿島、西松建設、三菱マテリアル(三菱鉱山)事実を認めて謝罪、償いの証とした賠償金。記憶する事業として記念碑などが各地に作られている。
中国と大きな違いが朝鮮ではある。動員計画、労務動員の名簿作っていたが、敗戦後廃棄、事実を隠蔽してきた。これが訴訟を困難にしている。

藤本 この違いをどうのりこえるか

カン 植民地主義の克服に関しては、韓国大法院の判決がくだされたことが引き金になり、去年の状況が強く影響している。中国人に対しては日本の法廷が勧告している。
日本の「気に入らない」を紐解くと、65年体制で、戦争に関しては責任を果たしたという認識なのだろう。
植民地支配に関しては、韓国の憲法の前文にも3・1独立運動が明記されている。一方の日本では、植民地主義は克服されていない、教育の中でも知らされない。多くの国民が知らない。そこでもたらされるのが、相手が下なんだという感覚。去年の安倍政権の対応、にそれが現れている。自国に損害が及ぶのもかまわずに制裁する。
市民だけでも交流、理解を深めるべきとやって来ているが、ある人の言葉に衝撃を受けた。オリンピック以来、30年ぶりに韓国を訪れて、「随分変わりましたね、民主化されましたか」と発言。誰の声を聞き取るか、言葉を重視すること。日常の中の植民地主義がある。

渡辺 日本ではこんなに教員がコントロールされている状況で、民主化が本当に必要だ。カンさんの以前の発言「今度は韓国市民が日本の民主化をたすける」というのが印象的。
植民地主義にかんしては、90年代からの運動の中で、主なテーマだったのが、戦後補償問題、「戦争」から「植民地主義」が見えてきたのはこの10年くらいではないか。植民地支配「向き合う」とはよく言われるが、必要なのは、植民地支配責任を果たすこと。果たすために何ができるのか、植民地主義について、日本では私達、知らないことだらけというのが実感。知るための素材必要だ。

コロニアリズムは継続している。今の朝鮮学校の問題はまさに現在進行形だ。「日本の民主化」は重い言葉、いまや検察まで。自由が奪われるシステムが作られつつあるという危機感。ここ数年の民主化を闘いとった韓国から学べるというのがひとつの好機。

藤本 植民地主義について知らないということが、日本の中での人権を低めている。植民地主義の認識が国内の人権をたかめるのでは。
政権や、メディアが市民がつながることを分断している状況。つながるために何ができるのか。

渡辺 これは、日韓問題ではない。日本の問題。植民地主義に向き合えない日本。
今すでに、つながっているものを大事に。

カン つながりをつくるのは時間かかるが、壊れるのは一瞬だ。いつも誠実に向き合うこと。
信頼関係、つながりはたくさんある。国の関係を乗り越えていく手がかりを、たくさん作ってきた。
絵に描いた餅ではなく、顔を合わせて、問題を率直に言い合える関係、声を一緒に記録する、伝える実績。
憎しみ、無関心、暴力への傍聴、に対抗する。
協力の実績をつくることが大事。
新しい認識をつくることへの努力、日中韓共通の歴史書を作っている。今年の終わりごろ、3段目の歴史書ができる予定。

中高生の歴史体験キャンプ、日中韓もちまわりで開催、台湾、北朝鮮ふくめて東アジアで行っている。去年も東京で開催。韓国の親たちの心配の声があったが、こういう時だからこそ、歴史体験ができるということで開催した。
参加した感想文でそれぞれが、認識のあまりの違いに、びっくり、お互いに知らなかった事に、また知ってから、それを認識できるということに。一緒に学ぶ可能性がある。協力と連帯の実践。記憶の継承が課題。

矢野 3・1独立運動100年で、独立宣言の読み直しをした。間違った政治を行っている日本を正しい道に導こうとしている。不安を解消するためのもので、東アジアの未来を開くものだ。
韓国併合から9年目の1919年にそのような運動を作れたということに驚き。民主共和国、民が主人公。ムン・ジェイン大統領の昨年の演説にも、「共和国の民としての歩みをはじめた」とある。令和の代替わりで大騒ぎをしている日本では、韓国との落差が激しい。
権利の回復というだけでない、尊敬できる、連帯すべき運動だ。韓国の運動でよく歌われていたのが、憲法第1条の歌。

若い世代も参加して

ハン・ヒスさん 2年間、日本語を勉強した。聖公会大学にもうすぐ復学する予定。

相原由奈さん 第15代高校生平和大使。東京外国語大学の大学院生

藤本 今日のシンポジウムは理解できましたか?

ハン 理解はできました。

相原 日本人がこんなに勉強して来なかったのかと恥ずかしくなった。
ブラジル被爆者の研究をしています。
釜山や「韓国の広島」と呼ばれるハプチョン(陜川)に行き、韓国の被爆者と日本語で会話ができたのですが、日本語で会話できる、そのわけについても、もやもやしたものを感じざるを得ないでいる。

ハン 独立運動、夏休みのプログラムで、ソデムン刑務所(서대문 형무소)見学など、直接行ってみて感じるものがある。

相原 こういう集会に友達と来れないのが日本の状況。
なぜ率直に話せないかはわからない。感覚を変えるのが必要ではないか。
高校生平和大使をしたことで、家族も関心を持ってくれて、家族内で政治の話もできる様になった。

ハン 政治の話は良くする。重い話とは思っていない。
お正月のような時に、親戚が集まって政治の話もするが、喧嘩になることも。
友達と話せない、という日本の状況はショック。

藤本 ドイツでは、家族つれだってや、子連れで反原発パレードに参加するような事がごく普通。今の日本では家族連れは殆どない状況。

相原 壁はあるのかという問いに対しては、壁はないとおもう。国家間にはあるかもしれないが、韓国料理が好きだったりするのが現実。どの位置に立っているかで、壁はあったり消えたりする。

ハン 日本の報道を見ていると、韓国での取り上げかたとと全く違い、同じニュースとは思えない。
韓国のことばかり繰り返しあつかうワイドショーも多い。

相原 メディアの取り上げ方、疑問に思う

藤本 嫌韓本というものを、どううけとめるのか?

ハン 友達に聞いてみた。反日と嫌韓、違うものだ。

相原 この問題を聞ける友達がいないことが問題。
ニュースで見ることで判断、現場で見ていないのでは。
この問題に触ると危ないのでは、という考えもあって実は、このタイトルのシンポの参加について、一旦はことわった。
反安倍は日本にもいる。

矢野 動員問題の視点、日本各地で、地域の中で、掘り起こし、記憶の継承の試みがされている
35府県に百いくつも記念碑がある、群馬では、右翼の攻撃にも対抗している。
市民だけではなく、行政も関わっている。相模湖ダムでは、県知事が銘文をかいている。
それが、いま反動にさらされている状態。
このことを、人権感覚で、放置してはおかしいと気がつく人もいる。
精算のための歩みとして、中国だけでなく、韓国人の訴訟でも和解がある
新日鉄の交渉担当者のインタビュー記事が朝日に掲載された。「うらみや、怒りが残っていいれば解消に努力をはらうべき」と担当者が語っている。壁を乗り越える道はある。運動を続けていく。

カン 「韓国の市民がアップグレード」の意味は、政治指導者に頼ったりすることでなく、自分が意思表示する人が増えたということ。政治権力や制度をかえるということから、市民のあり方が社会の中で変わってきた。
今、ボイコットをしているのは、反日ではなく、市民の意思表示で社会を変えてきた経験から、この事態を変えるための意思表示をしているということだ。
この事態を理不尽だと思う個人が、自分は旅行しない、といった行動で意思表示している。
メディアの状況、市民がメディアをどう使うかが変わった。
言葉を選んでいく、メディアを選ぶ、巨大メディアが強すぎる状態があるが、今のデジタル時代、一人ひとりが発信できる。
メディアを選ぶことができる。そして、フェイクを見抜く力がついてくる。日本でも、韓国でも多数のメディアに対抗できる時代。理解を作っていくこと。力まないで付き合うことが必要。

渡辺 相原さんの家族が関心をもったという話、おもしろい。
今、家で親がネトウヨという状況がめずらしくない。
学んでない、テレビをよく見るのが原因か。
wamでは、これから若くない人をターゲットにしようと考えている。
慰安婦問題に関しては、誰もわからないかもしれない。兵士としての経験のある人でも人権意識がない。
権利があるということが、教育されていない。
今の歴史教育は、近現代史からはじめないと。自分の経験でも社会に出てから学んだことのほうが多い。
3国の歴史書、それを作るプロセス自体が面白い。歴史の証言、語ったものをそのままどうやって残せるのかを考えている。

第2部 歴史認識と教科書─歴史を遡る様々な動きをめぐって

2020年、中学校教科書採択─より良い教科書を子どもたちに!


相可文代さん

子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会 相可文代さん
作る会系の教科書が登場してから20年、各地で市民の運動が実を結んでいるところもあります。

歴史教科書の問題から、今は道徳教科書が重い問題になってきました。日本会議系が作成した道徳教科書の問題教材や、背後にいる右派団体がどう学校に浸透しているか、小学校の社会科や道徳で日本会議系の教科書が採択された結果の採択率:社会科の3社(2019)

  • 東京書籍 55.3% 安倍政権に迎合的
  • 教育出版 27.7% 平和・人権を重視
  • 日本文教(大阪書籍)17% 維新に迎合的

など具体的な数字も紹介されました。道徳教材の中には、あまりにとんでもない内容に会場から驚きの声やため息が出る場面も。

採択は地域ごとなので、地域の運動が力をもち、名古屋で2017年の教育出版から2019年には光村図書に変更できた例など、市民やメディアの批判が教科書を変えた実績も多くある事、一方では、近現代史を知らない世代が教師になっている現状では、教師が愛国心教材に共感をしめすなど、教育現場の厳しい状況も示されました。

「愛国」と「自己犠牲」を刷り込む教科書の採択を許さないために

2019年07月22日

自民、公明、維新の「改憲勢力」が3分の2の議席を割り込むも、安倍政権は継続、引き続き立憲主義の回復と安倍政権の退陣を求めて闘いを強化しよう!

2019年7月22日
フォーラム平和・人権・環境
事務局長 勝島一博

7月21日投開票された第25回参議院選挙の結果、自民、公明、維新の「改憲勢力」が改憲発議に必要な3分の2の議席を割り込みました。

この間、私たち、平和フォーラムは、13項目にわたる政策合意を基本に野党共闘を推進する市民連合の中心的役割を担いながら、この参議院選挙を改憲阻止の闘いと位置づけ取り組みを進めてきましたが、参議院で改憲を許さない大きな一歩を築くことができました。

全国で奮闘いただいた各都道府県組織及び、中央加盟団体の皆さんに心から敬意を表します。

しかし、安倍晋三首相は、残り2年余の総裁任期の中で「残された任期の中で憲法改正に挑んでいきたい」と主張するとともに、野党の一部の取り込みにも意欲を示しており、私たちは、引き続き平和憲法を守り憲法理念実現をめざす闘いの強化と立憲野党との連携強化が求められています。

一方、私たちは、参議院選挙の中で、安倍政権のもとで強行成立させられた憲法違反の安保法(戦争法)や共謀罪法の廃止、脱原発・再生可能エネルギーの推進、沖縄辺野古新基地建設の中止と普天間基地の返還、森友学園・加計学園や南スーダンにおける日報隠蔽などの疑惑の究明と透明性の高い行政の確立などを求めるとともに、立憲主義を踏みにじり暴走を続ける安倍政権の退陣を求めて様々な取り組みを進めてきました。しかし、与党が過半数を占めるという結果の中で安倍政権は継続されることとなり、改めて、これらの課題に対する総がかり行動実行委員会や戦争をさせない1000人委員会、さよなら原発1000万人アクションの取り組みを強化していかなければなりません。

私たち平和フォーラムは、安倍政権の暴走を阻止し、その退陣を求めるとともに、立憲主義の回復と憲法理念の実現をめざしさらに職場や地域での取り組みを強化していきます。

2019年04月25日

第21回総会アピール

4月25日、東京の日本教育会館で行われた平和フォーラムの第21回総会で、2018年度活動経過報告や2019年度運動方針などの議論の後に、総会参加者から、以下のアピールや特別決議を挙げました。

総会アピール

 安倍政権が成立し、日本国憲法の危機が叫ばれてから、多くの時間が流れました。その間、特定秘密保護法、安全保障関連法改正、改正組織犯罪処罰法(共謀罪法)などが制定され、立憲主義をないがしろに、日本国憲法の根幹である平和主義や民主主義の崩壊をきたしています。国会における数の力、安倍一強支配の下で成立してきました。一方で、貧困や格差の課題やヘイトクライムは放置され、働き方改革や入管法改正においては、働く者の人権を無視する姿勢が顕著に表れています。増大する財政赤字の抜本改革は常に先送りされ、社会保障費が削減されていく中で、防衛費は戦後最高を更新し続けています。森友・加計問題や統計不正問題も全く解決していません。相次ぐ自民党政治家の問題発言、政権の驕りは極まっています。

 安倍政権は、米国におもねり、市民の犠牲の上に立って、「今だけ、金だけ、自分だけ、そして仲間だけ」の政治を展開しているに過ぎません。今、私たちはしっかりと自分の足元を見つめ、将来にむけた冷静な判断を下さなくてはなりません。

 安倍首相が強く主張した「アベノミクス」は、巨額の赤字国債とともに、その間違いを明らかにしています。アベノミクスの中心に据えられていた原発の輸出も防衛装備移転三原則のよる武器輸出も、破綻しています。安部政権は、目先の利益にこだわり将来の日本の姿を描けずにいます。何度となく示された沖縄に基地はいらないという民意、原発ではなく自然エネルギーを中心にしたいという市民社会の声、巨額なオスプレイやF-35A戦闘機の予算を保育所や介護施設・社会保障費の充実に回せとの要求、切実な市民の声が無視され続けています。市民生活をないがしろにすることは許されません。

 被爆国日本が、核兵器禁止条約に批准せず背を向ける。韓国徴用工の切実な声には、国際法違反だと一方的に断罪する。南北朝鮮と米国による朝鮮半島の平和と非核化へのとりくみにさえ、後ろ向きの姿勢に終始する。その上で、米国との軍事的繋がりを強化する。安部政権の外交姿勢は、日本の安全保障からほど遠いものになっています。安倍首相が主張する積極的平和主義は、米国の覇権に引き込まれるきわめて危険な状況を作り出しています。平和の基本は信頼と協調であり、そのために外交姿勢が重要です。

 安倍首相は、本年2月の自民党党大会において、「憲法改正にとりくむときがきた」と述べ、憲法9条への「自衛隊明記」を訴えています。日本国憲法は、先の侵略戦争の反省にたって、戦争の放棄と戦力の不保持を規定し、平和に生活する市民社会をめざしています。市民一人ひとりのいのちの尊厳を守ることが、政治の役割だと規定しているのです。安倍首相のもくろみを決して許してはなりません。

 2011年3月11日の東日本大震災・福島第一原発事故から、平和フォーラム・原水禁は、「ひとり一人の命に寄り添う政治と社会」をスローガンに、立場を超えて広範な運動の展開をめざしてきました。結集軸の根幹は、いのちの尊厳にあります。そのことをないがしろにする安倍政権と対峙し、平和フォーラム・原水禁は、手を繋ぎ合える全ての仲間とともに、改憲を許さず、多民族・多文化共生、平和で市民の権利が守られる社会をめざして、全力でとりくんでいくことを決意します。

2019年4月25日
フォーラム平和・人権・環境 第21回総会
原水爆禁止日本国民会議 第94回全国委員会

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