| 第46回護憲大会 第2分科会「教育と子どもの権利」報告 2009年11月02日 |
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| 第2分科会「教育と子どもの権利」は、「子どもの権利条約」を日本が批准して15年にもかかわらず、理念は定着せず、法制度も不備なままどころか、2006年には「愛国心」押しつけや競争主義の助長の教育基本法改悪が強行されたなかで、教育現場の状況はどうかを討議する場でした。サンパルテ山王の「天竜」会議室を会場に100人を超える参加者のもと行われました。山梨学院大学教授の荒牧重人さんが問題提起・助言者、西田衣里さん(日教組)、前田豊さん(政労連)、本間正史さん(全オリジン労組)が運営委員、藤本講治さん(広島)、新田昌司さん(富山)が座長でした。 | |||
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プロフィール
山梨学院大学法科大学院教授。子どもの権利条約総合研究所事務局長、川崎市子どもの権利委員会委員長。著書に、「子ども支援の相談・救済」(編著・日本評論社)、「ガイドブック教育法」(編著・三省堂)、「子どもの権利-日韓共同研究」(編著・日本評論社)などがある。
→問題提起レジュメ |
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助言者の荒牧重人さん(山梨学院大学法科大学院)は、「教育と子どもの権利−国連採択20周年を迎える子どもの権利条約を素材として−」と題して、下記のように講演しました。
子どもの権利条約が、国連において全会一致で採択されて20周年であるにもかかわらず、日本において、その理念は浸透しておらず、具現化する手立てが講じられていません。子どもを否定的に見て、信頼しない、能力を認めないという大人の態度が子どもの権利を侵害するだけではなく、子育て・親子の関係にも影響をおよぼしています。 最近の子どもの状況のなかで、子どもの自己肯定感が低いことが問題です。いじめなどで自分が傷つけられたときに、助けを求めるなど解決にむけた行動ができない子どもが多いのは、自己肯定感が低いためです。子育てや教育において、子どもに自己肯定感をもたせることが最も重要ですが、自己肯定感を高めるためには、子ども自身に権利があることを知らせ、大人が権利を保障することが必要です。 教育を受ける権利にかかわって、2006年に「改正」された教育基本法は大きな問題があります。国民の権利を保護し、権力の暴走を防ぐための規制が憲法であり、そのもとで定められた教育基本法は、教育を権利として保障するものとして位置づけられていました。しかし、「改正」によって、あるべき態度が定められ、国家を統制する規範から国民・個人を統制する規範へと変えられてしまいました。社会教育や幼児教育、地域との連携などの規定にも問題があり、実際に個人が管理される状況が生じています。 このような憲法の理念に反する法律に対して意義をとなえてきましたが、現在では、国際人権条約や憲法に即して教育基本法を運用しなければなりません。国連の人権条約だけではなく、ユネスコ、ILOにも教育に関する条約がありますが、教育の規定は内容が厚くなっています。それは、情報と教育で国民が統制されてきた過去の過ちをふまえたものであり、「権利としての教育」であることを認識しなければなりません。そして、その権利を保障することが国の役割であり、不登校の子どもの学習する権利も含めて保障する必要があります。 子どもの権利条約に対して、「子どものわがままを助長する」「開発途上国のためのものだ」「理想論である」などの認識がありますが、間違いです。子どもは、権利を知れば、自分を律し、他の人の権利を認めることができるようになります。大人は、子どもは保護されるだけの存在ではなく、一人の人間・人格、一員であることの認識をもつことが必要です。子どもの権利条約では、具体的な権利として一番に「命の権利」を規定しています。学校で、いじめなどが「命の権利」の侵害である視点を教えることが重要です。思いやりの必要性を教えるのみでは、加害者の教育はできても被害者の救済はできません。 日本は、子どもの権利条約の実施状況を国連に報告していますが、「実施していない」と報告をしないので、NGOが実態をリポートしています。このリポートの内容は、勧告に反映され、市民の意見を国際的に生かすことができるのです。 家庭・学校・地域での教育力が低下していると批判され、行政はさまざまなとりくみを行っていますが、効果がありません。ユニセフ「子どもにやさしいまち」構想では、子ども参加が基本で、子どものための予算確保などの要素が重要だとしています。日本では、子ども条例の策定などで、子どもの意見表明や参画をすすめているところがありますが、地域で子どもが育つしくみをつくることが必要です。 また、一人でも安心してSOSが出せる独立した公的な機関を設置することが必要です。その機関で提言・勧告・子どもの救済ができるようにするとともに、子ども自身が問題解決の主体者として関係者と協議できるようにすることが重要です。子どもどうし、子どもと大人のよい関係をつくるために、条例や制度をつくることが必要ですが、そのもとになるものは子どもの権利条約であり、その具現化を自治体ですすめなければなりません。 |
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参加者からは、当事者の視点や子どもが主体者であることが認識されていない現状、法律の問題点、学校教育における規制・教職員の多忙化、学力調査にかかる情報公開・学力観、携帯電話使用禁止などの子どもの権利侵害、子どもの貧困と教育の無償化などについて質問や現状の報告がありました。
助言者の荒牧さんは、さまざまな問題について当事者の子どもの意見をきいていないことが問題で、子どもや教職員の議論なしに、一方的に条例や通知などで定めることが大きな問題であると述べ、当事者である子どもがかかわって問題解決をはかるしくみをつくって実践していかないと、自分の問題が解決できない、問題を問題として見抜くことができない大人になってしまうと指摘しました。 また、教育の無償化については、憲法学における統一的な見解や国民的な合意がないことから、まずはそこの合意形成が必要であるが、権利保障の観点では行政が積極的にすすめていく必要があると指摘しました。 最後に、子どもの権利は「子どもを戦争に行かせない、貧困から救う」という平和をまもるために保障されてきたことを認識し、子どもの権利の保障をすすめるため、私たちはこれまでの成果を確認・共有して、前進していくこととが重要であると訴えました。 |
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