憲法理念の実現をめざす第53回大会(護憲大会)閉会総会
 まとめ 勝島一博事務局長

   3日間にわたる憲法理念の実現を目指す第53回もいよいよ閉会の時が近づいてきました。
   この3日間、参加者の皆さんには、開催地富山で真摯な議論をいただいたことにまず感謝したいと思います。ありがとうございました。
   また、本大会成功に向けて多忙な中、ご協力いただいた助言者の皆さん、そして、大会を支えていただきました地元富山実行委員会の皆さんに心から感謝申し上げます。
   さて、この3日間の中で多くの貴重な意見をいただき議論を進めることができました。しかし、この場で議論のすべてにわたってまとめることは私には到底難しく、私なりの稚拙な報告と喫緊の課題について申し上げさせていただき「まとめ」とさせていただきたいと思います。

   さて、今大会の名称は「譲れない命の尊厳、人権・戦争・沖縄」であり、開会総会では「漂流する日本政治 安倍政権のこれまでとこれから」と題し、3名の学者の方々から問題提起をいただきました。
   名桜大学の大城准教授は、沖縄高江のヘリパッドの建設強行のために配置された機動隊員による「土人・シナ人」発言に象徴される沖縄への差別意識や、警察が、戦後自治体警察として生まれ変わったにも関わらず、政府が国策を強行するために警察権を濫用していると指摘をするとともに、辺野古や高江での市民に対する暴力的活動を契機に、戦前の体制に回帰することを問題視をし、警察権の政治的濫用を糾弾し続けなければならないと話されました。
   また、金子横浜市立大学名誉教授からは、アベノミクスは失敗したが、戦争法成立と政権支持率は維持したとの分析を行い、今後は、格差是正をはじめ、成長至上主義からの脱却や、さらに、国境を超えた経済への対応などを進めるべきとのお話をいただきました。
   また、日本大学清水教授からは、自民党改憲草案やPKO派遣について、その問題点を指摘するとともに、改めて安倍政権の改憲策動への警鐘を鳴らされています。
   一方、分科会では、第1分科会の「非核・平和・安全保障」から第7分科会の「憲法」の分科会まで7つの分野でそれぞれのテーマに沿って参加者の皆さんからの多くの発言もいただき議論が深められたと聞いています。
   詳細については触れることはできませんが、それぞれの先生からいただいた問題提起や議論をしっかりと受け止め持ち帰っていただくとともに明日からの運動につなげていかなければなりません。

   そのうえで、喫緊の課題について、3点申し上げまとめとさせていただきたいと思います。
   第1の課題は、憲法を守る闘いです。今臨時国会の重要課題の1つは何といっても改憲勢力が3分の2を占める状況の中で憲法「改正」に向けた憲法審査会が1年と半年ぶりに11月16日に参議院で開催されようとしています。
   これに先立って、7月11日、参議院選挙の投開票の翌日、与党勝利の結果を受けて記者会見した安倍首相は、引き締まった表情で「憲法審査会でどの条文をどう変えるべきか議論すべきだ」と述べ、また、今臨時国会の所信表明演説でも各党に改憲のための議論を呼びかけています。
   しかし、安倍首相の発言からは「憲法を変えたい」という意思は伝わるものの、主権者である国民の議論すら盛り上がらない中で、日本の法秩序の要である憲法をなぜ今変えなければならないのかについては語られず、また、改憲案の中身についての質問にも詳しい説明はされていません。そして、最近になって、自民党・下村幹事長代行は、改正の優先課題として、「緊急事態条項の創設や参議院選挙区の合区解消」を挙げていますが、国会周辺からは「お試し改憲」などと軽はずみな言葉さえ聞こえてきています。
   政治評論家の森田実さんは、こうした改憲議論に対し、「現行憲法で対応できない課題は、戦争以外には見当たらない」とし「基本的人権の尊重をうたった普遍的な価値を前提とする今の憲法に大きな不備はない。国民生活の向上のために必要な課題が生じれば、淡々と法整備を進めればよい」と真っ向から否定しています。
   さて、自民党が2012年に決めた憲法改正草案は、開会総会でも申し上げましたが、侵略戦争を反省した現憲法の前文を削除し、さらに陸海空軍の戦力を保持しないとした9条2項を廃止して国防軍を創設するなど憲法の平和原則を踏みにじるものとなっています。また、「犯すことのできない永久の権利」としての基本的人権は否定され、権力を縛る憲法を逆に国民を縛るものへと変えようとしています。
   琉球大学高良教授は、2日目の午後、基地ネットワークのひろばのなかでで、第2次大戦を引き起こしたドイツのヒットラーについて触れ、「ヒットラー一人の力でファシズムが進行したのではなく、ヒットラーを支えた者たちがいた。支えた者たちとは国民であり、国民が権力を監視しなけれえば誰がする」と結んでいます。
   本来、立憲主義において、憲法は国民が権力者を縛るものですが、放っていても自動的に実現するものではありません。ひとたび、私たちが権力者に憲法を守らせる力が弱まった時、今日の自民党改憲草案のように、権力者は憲法を国民を縛るものへと変えようとしてきます。
   これまで私たちは、労働組合はもちろんのこと、憲法学者や文化人、学生、主婦、宗教家など広範な人びととの連帯や市民の自発的な運動参加を実現する中で、集団的自衛権行使を柱とした戦争法の廃止を求めてかつてない運動を全国で展開してきました。
   引き続き私たちは、私たち自身が憲法を守らせる力を養っていくとともに、国会を中心にした闘いと各地の闘いの連携を強めながら、この間の戦争法廃止を求める闘いをさらに上回る闘いを共に創り上げていきたいと思います。全国での奮闘を心から期待し、共にがんばりたいと思います。

   第2の課題は、今大会のスローガンにもあります沖縄の闘いについてです。
   まずは、基地の縮小・撤去を求め、辺野古や高江で、全国から投入された機動隊の暴力にも屈することなく、全力で闘っている沖縄平和運動センターをはじめとしたみなさんに心から敬意を表しますとともに、フォーラム全体で、全国の職場や地域で自らの闘いとして沖縄の闘いをさらに強化していきたいと思います。
   現在、安倍政権は、大城事務局長の報告にもありましたが、地方自治を踏みにじり、法を捻じ曲げ、また、「基地はいらない」とする度重なる選挙で示された沖縄の民意を無視して辺野古や高江の工事を強行しています。
   さらに、この工事の強行を後押しするのが全国から導入された機動隊の暴力による弾圧や国に追従する司法の不当判決であり、絶対許すわけにはいきません。
   この司法や警察権力を巻き込んだ沖縄での安倍政権の暴走に対し、院内での闘いはもちろんのこと、沖縄で、全国各地でこの暴走を止める闘いを強化しようではありませんか。
   具体的には、1)すでにスタートした「沖縄県民の民意尊重と、基地の押し付け撤回を求める」全国統一署名を全力で取り組みたいと思います。各団体での力強い、かつ、スピーディなとりくみをお願いします。
   また、2)12月10日の「最高裁の民意によりそう判決を求める全国アクション」の取り組み強化です。
   すでに、日比谷野外音楽堂での集会とデモ行進の準備を進めていますが、この東京の集会は「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲行動実行委員会と基地の県内移設に反対する県民会議、さらに、戦争させない・9条壊すな!総がかり実行委員会の共催として準備しています。今後各県でも最高裁判決に向けた学習会や集会、街頭宣伝など取り組みを重ねていただき、12月10日に各県一斉の取り組みを実施したいと考えています。本日参加のみなさんの各地での取り組みを改めてお願いします。

   そして、3つ目の課題は、南スーダンへのPKO部隊の派遣についてです。
   南スーダンへのPKOの派遣については、昨日の第1分科会の半田滋東京新聞編集員から提起を頂きました。
   半田さんは、2012年の現地南スーダンの取材や、今年10月24日の公開された自衛隊の「駆けつけ警護」や「宿営地の共同防衛」の訓練に参加した経験を踏まえて、11月15日に閣議決定される新任務を帯びたPKO部隊の派遣について南スーダンの現状も含めてお話されました。
   まず、昨年の安保法制の改正に伴うPKO法が多くの憲法学者が指摘するように憲法違反の疑いが強いこと、また、現在の南スーダンの厳しい治安情勢の中にあって自衛隊員の安全が確保することが極めて難しいと指摘しています。
   この現地の治安情勢については、政府見解についても紹介されましたが、政府見解では、起きているのは「戦闘」ではなく「衝突」としながらも、公表された「基本的な考え方」では、「治安情勢は極めて厳しい」「今後の治安情勢については楽観視できない情況である」「政府としても南スーダン全土に『退避勧告』を出している。もっとも厳しいレベル4の措置であり、治安情勢が厳しいことは充分認識している」と報告されています。
   また、稲田朋美防衛大臣の事前の治安情況の視察と「安定している」とする政府見解に触れ、現在現地は武力衝突が起こりづらい雨季でしかも首都のジュバだけをたった7時間視察しただけでは治安について判断できるものではないと指摘しています。
   安全保障関連法の成立により、今後は、PK0部隊の任務に「駆けつけ警固」や「宿営地の共同防衛」が加わることになります。宿営地から離れた場所で武装勢力に襲われた民間人や他国軍兵士を、武器を所持し助けに行く任務や、武器を持って検問や巡回にあたることを可能としたため、事実上の内戦状態の中で隊員らは武力行使を行うこととなり、さらに危険は高まることとなります。
   戦後日本の自衛隊は、平和憲法のもと、海外に派遣される場合においても 1 発の銃弾さえ発したことはありませんでした。
   いよいよ、次期派遣にむけて、稲田朋美防衛大臣は、安全関連保障法にそって新任務の訓練を行うことを表明し、「戦争ができる国へ」大きく踏み出すこととなりますが、すでに、防衛省では「今後武器使用の教育を最重視する」としており、「殺し殺される」 現実がすぐそこまで近づいてきています。
   次の交代時期は11月といわれ、11月15日の閣議で新任務を付加した派遣内容が、決定されようとしています。開会総会のメイン企画で、清水先生からは「PKO参加5原則が守られない新任務の派遣は中止すべき」、日本の使命は平和憲法に基づき「軍事によらない人道支援、民生支援こそ日本の役割」との発言がありました。平和憲法に違反した安全保障関連法によって平和憲法に違反した取り返しのつかない行動が行われないよう全国で取り組みをさらに強めていこうではありませんか。
   結びに、3日間の議論でも明らかになりましたが、安倍政権のもとで日本の国の形が大きく変えられようとしています。そして、いよいよ巨大な安倍政権に対し、日本における立憲主義、民主主義、平和主義を守る闘いが正念場を迎えています。今護憲大会での議論を職場や地域にしっかり持ち帰り、明日から、私たちがこの闘いの先頭に立って奮闘しあうことをこと全体で確認し、3日間の大会のまとめとさせていただきます。ご苦労様でした。<