10月, 2017 | 平和フォーラム

2017年10月31日

憲法理念の実現をめざす第54回大会(護憲大会)分科会報告

 第1分科会 非核・平和・安全保障

 

助言者の前田哲男さん、重松舞子さんの発言を基に活発な議論が行われました。

前田さんからは、戦争法―自衛隊法の改悪など安倍政権の危険性を確認した開会総会のシンポジウムでの討論を受けて、今後私たちが何をなすべきなのかについて提起していただきました。

一つは、国際人道法における中立条件の戦争回避義務から防止義務、そして黙認義務のなかで、回避のための努力をすべきで、具体例としてイラン核開発をめぐる戦争危機をドイツとフランスが中心となってEUが仲介に入ったイラン方式にならい、日本が北朝鮮と米韓との対話交渉の場づくりを主導するよう、安倍政権に求める。

そして、防止のための努力として、日米安保条約第6条による交換公文で約束されている事前協議で在日米軍基地からの出撃を許さないようにする。

この二点を安倍政権への対抗軸として迫るための世論醸成を課題として提起しました。

重松舞子さんは高校生平和大使としてスイス・ジュネーブでの署名提出、NGO訪問、欧州本部や軍縮会議への参加と意見発表などの活動報告。被爆者から直接話を聞ける最後の世代としての自覚と「微力だけど無力ではない」という立場で、今後も核廃絶、平和に向かって署名活動などの活性化をすすめていきたいとの力強い表明がありました。

参加者からは、佐賀空港へのオスプレイ配備、神奈川の厚木基地と横須賀基地における米軍と自衛隊の現状、日米合同委員会と事前協議の困難性、安倍政権の朝鮮半島危機の煽動への対抗策、鹿児島の鹿屋・馬毛島・奄美諸島などの軍事化―自衛隊配備の状況、木更津自衛隊基地におけるオスプレイ整備の実状と危険性、米軍の攻撃開始と米軍属・家族の避難の関係、一般組合員の意識や世論とのギャップをどう埋めるかといった多くの貴重な情報、意見が出されました。

最後に、前田さん、重松さんからまとめの発言を受けて、運営委員から過去40回ほど護憲大会に参加してきたが、今回ほど朝鮮半島における戦争の危機的状況はなかったと感じるが、お二人の助言者からの提起に応え、運動をすすめていきたいとのまとめのあいさつがありました。

 

第2分科会 地球環境―脱原発に向けて―

 

原子力資料情報室共同代表の伴英幸さんより、原発再稼働を許さない、エネルギー基本計画見直しに向けて、「核燃料サイクルを断つ」などをテーマに問題提起を受けました。

原発再稼働を許さないとのテーマでは、柏崎刈羽原発は、適合性審査の中で初めて事業主体の適格性が問われたが、東電側の不十分な回答をそのままにし、「敷地内の断層が活断層である」という地元学者グループの指摘を検討しないまま、10月に適合性審査合格が出された。11月3日までパブコメ中であることから、耐震問題等について再チェックを求める等の動きを行って欲しいとの話がされました。

エネルギー基本計画見直しに関しては、2014年度計画の見直しがされるが、原発がベースロード電源であるという位置づけを外させることや、省エネ、再生エネルギーの一層の拡大、そして原発のリプレース(廃炉原発跡地に新たな原発を作る)や新増設を計画に入れさせないことをしっかり主張していかなければならないとして、私たちの闘いに対して示唆をいただきました。

核燃料サイクルを断つために、2008年以降止まっている六ヶ所再処理工場の竣工延期、余剰プルトニウムを持たないとする国際公約を遵守させることや、廃炉等で発生する高レベル、低レベル合わせた2,000万トンもの廃棄物の処理について、生活環境の放射線汚染を強めさせないことが重要とされました。また、そもそも原発の稼働がなければこういった問題もおきないことから、稼働を止めることが先決であり、その上で、廃棄物を当面は貯蔵しながら、処理・処分に関して熟議を尽くして最善策を探るべきとの話がされました。

その後の質疑では、原発稼働の20年延長、乾式貯蔵に対する考え方等での質疑がされ、さらなる理解を深め合いました。

次に、各地域からの取り組み報告を行い、佐賀からは「玄海原発3・4号機の再稼働をめぐる状況」として、知事の再稼働同意までのプロセスや周辺自治体の動き、そして9月に行われた防災訓練の状況等が報告されました。また、福島からは原発事故処理の状況や地域住民が放射能への不安や避難先での生活基盤形成などから帰町率が低くなっていることや、北海道からは「高レベル放射性廃棄物の最終処分」問題について「幌延深地層研究センター」の現状や「科学的特性マップ」で最適地、適地とされたすべての自治体において、「処分場拒否」の議会意見書採択の運動を展開することが話されました。

続いて、福井からは「もんじゅ」の廃炉が決定されたが、そのままにされている2.5トンの燃料体の処理と1670トンにも及ぶナトリウム処理の問題や、もんじゅの廃炉にあたって、これからどうあるべきかの提言書の作成について報告がされました。

最後に、助言者から、原発稼働等の責任の所在をはっきりさせることが重要。「事故が起きた時は国に責任をとって欲しい」との知事、首長などの発言があるが、これはやめてもらわなければならない。以前は経済産業大臣の許認可だったものが、今は最終判断が知事に委ねられていることから、知事の責任は非常に重くなっており、国だけの責任ではないということを広めていかなければならない。そのような意識で各地域の運動を展開して欲しいと述べられました。

運営委員のまとめの後、座長から「本日学んだことを各地域に持ち帰ってもらい、反原発、脱原発運動に全力を挙げていただきたい」との挨拶で分科会を終了しました。

 

第3分科会 歴史認識と戦後補償

 

第3分科会「歴史認識と戦後補償」では、高島伸欣さん(琉球大学名誉教授)から、以下のような問題提起を受けました。

高校教師時代、生徒に東南アジアのイメージを聞いたところ「貧困・野蛮」といった歪んだイメージが語られた。現在では、日本を追い抜くほどの経済国になっている東南アジアに対して、なぜ、この様なイメージがあるのか。アジア人を見下した福沢諭吉の教えが未だに影響している可能性もある。

太平洋戦争に突入した経過は、日中戦争が日本軍の予想に反して中国の抵抗が激しく、そして、米国との関係悪化に伴い東南アジアへ侵略し資源を奪うための海上輸送路確保のための真珠湾攻撃であった。12月8日の、真珠湾攻撃で太平洋戦争が始まったとされているが、真珠湾よりも先に陸軍が英国と戦闘を開始している。

中国で日本軍を困らせているのは、中華民国へ資金援助をしている、マレー半島に居る中華系の人民であるという根拠のない理由から、中華系人民を大量虐殺している。1944年3月までに中華系と英国の人民を組織的に大量虐殺している。このことは、陸軍からの公式記録残っている。福沢諭吉以来のアジアを見下した思想教育があったことで大量虐殺が出来たのではないか。

日本にとっての沖縄は、高江ヘリパッド建設で大城さんが6月の拘留をされた事に象徴されるが沖縄県民には人権がないと思わざるを得ない。しかし、沖縄の人々は自分たちの力で日本への返還を勝ち取り、日本国憲法を自力で手にした人たちである。底力のある県民であるけれども、国内では未だに江戸時代から続く地域差別がある。国内植民地という表現がされることもある。今では、原発事故の犠牲者である福島県民も地域差別が行われている。

投票権が18歳に引き下げられたが、今回の18歳の投票率は34%と低い結果に終わった。さらに、投票した人たちの支持率が高いのは自民党でした。憲法第16条の請願権を正確に伝える教科書は1社のみである。請願権とは、何人も基本的人権として、各議会に対して自分の要望を訴えることが出来る権利である。このことを学習し、校則等不満があれば請願権を使うような体験があれば、選挙に対する意識も高まるし投票先も変わる可能性がある。16条を放置した責任は社会全体にある。安倍政権の歴史認識では戦後補償はない。まずは、健全な社会を確保することが重要である。

問題提起を受けて、質疑応答と討論に入りました。主な内容は以下の通りです。

「従軍慰安婦問題が解決しない。謝罪と10億円という基金を出したが、またぶり返している。なぜなのか」との質問には、高嶋さんは次のように応えました。「河野談話で、「騙すようにして斡旋業者から日本軍が引き継いでいた強制性もある。」という事の否定のために、強制連行は証明されていないという雰囲気が広がっている。このこともぶり返す理由と思う」「一方で韓国軍もベトナム戦争時の暴行や慰安婦など問題が表面化し、その時に妊娠出産した子どもたちがベトナムで差別を受けている。韓国では、この問題は女性の人権問題、人類普遍の問題として取り組まれている。安倍総理は、この思想に追いついていないのではないか。」

群馬の参加者からは、朝鮮人徴用者の慰霊碑を2004年に建立したが、3年前に政治的利用という批判を受け、県議会が碑の撤去誓願を採択したことで県が設置更新許可を認めない判断をした。私たちが歴史認識を持って、右傾化する空気を打破するにはどのようにすればよいかとの質問があり、高嶋さんからは、経済界が動き出すこと、アジアとの経済関係を強めること。そして政治的中立のマスコミの力が必要だとの答えがありました。

また、「憲法第16条請願権の話は、目から鱗が落ちる思い。一人でも行動が起こせる事を教えていく事が大事。安倍政権は憲法第24条も狙っている。富山で別姓裁判の支援と24条の学習会を行っている」との報告がありました。

 

第4分科会 教育と子どもの権利

 

第4分科会では、安倍「教育改革」とそれに対するオルターナティブというテーマで荒牧重人(山梨学院大学)さんから提起がありました。衆院選挙が終わったが、安倍教育改革が支持されているわけではない。選挙の中で、「教育の無償化」が公約にいれられたが、憲法改正の必要はない。人権条約を適用するか、そのための法律を制定すれば対応できる。憲法「改正」がしたいがために「教育の無償化」を口実にしている。安倍政権の教育改革についてどういう対抗軸を示していくのか?との投げかけから話が始まりました。

安倍政権がめざしているのはグローバル競争大国である。グローバル企業の競争力強化にむけた「新自由主義改革」を掲げ、そのために必要な人づくりをし、国民意識の改編・形成などを行っている。そのために教育に手を出したがる。安倍政権の教育改革は危ない。すでに教育現場に表れている。安倍政権の教育改革における学習指導要領の改訂、教科書統制(教科書検定)、特別な教科道徳等である。メディアも自主規制しているのか、公権力に対抗しなくなってきている。政府の見解の押し付け、政治的介入が問題である。

安倍「教育改革」に対する対抗軸をしっかりとつくっていかなければならない。市民の力に支えられた民主主義の実践・とりくみと国際基準を活かしながら子どものところから再構築をしなければならない。それは、子どもの権利条約等の国際基準をふまえた「人権としての教育」の構築である。人権条約における教育への権利の認識と内容を国内規範化すること、教育への権利の国際的保障と日本の教育法制の整備等が重要となる。また、子どもの権利条約の意義や内容を再確認することも必要である。さらに、条約を理解する上で特に大切なことは、子どもをおとなと同じように取り扱うことを求めているのではなく、子ども期にふさわしい、より手厚い権利保障を要請しているということである。自国籍の子ども、自国社会で生活する多様な文化的背景・国籍をもつ子ども、国外の子ども、いずれの権利保障も大切である。

教育の無償化については、権利の観点から無償化問題を捉え、対応する必要性がある。無償化すると国が口出ししやすくなる。憲法には「教育は無償とする」とあるが、これは授業料だけではないはずである。初等教育の無償化は人権条約上の義務、中等教育・高等教育の無償化は人権条約の要請。ゆえに、憲法改正の必要はない。人権条約を適用するか、そのための法律を制定すれば対応できる等の提起がありました。

また、これまでの教職員・学校・地域のとりくみの成果を確認し共有するという点が大切である。どうしても課題が先行しがちになるが、成果をもとにしない課題の提示や確認はそれだけに終わってしまい、解決の方向にむかわない。いま、子どもや教職員・学校を取り巻く現状はがんばれば解決できるようなものではない。現場の意見を反映した施策や制度、親・保護者・地域・NPO法人等々の連携・協働なしには解決の方向すら見えないことが多いということも強調されました。

これらの提起をもとに、教委からの圧力に対しどう対応していったらよいか、安倍「教育改革」施策に対しこれまでどういうとりくみをしてきたか、今後どのようなとりくみが必要なのか等の意見交換に入りました。自治体の政策によって学校の統廃合、小中一貫校の設立、また教委からの全国学テの点数をあげることへの施策等の事例があげられ、子どもたちがないがしろにされているとの意見や、教職員が多忙では、子どもがついてこられない。また、教科書採択の問題、朝鮮学校無償化問題、施設で学習している子どもたちの実態等、たくさんの現状を交流し、またとりくみの報告も受けました。

教育関係者は謙虚過ぎる。自分たちでがんばってしまう。協力・協働をし、発信をしていく必要がある。子どもの権利を考えてとりくまなくてはならない。子どものことを語り、子どものことを思って教育条件整備をしなくてはならない。子どもが、学校の中で学校の構成員として位置付けられているか、子どもの権利を連動させながらやっていくことが大切。地域とかいろんな人の力をかりて、教職員が連携・協働していくことに動いていき、子どもの権利条約に関するとりくみをいかしていくことが重要である、と最後に荒牧さんから助言をいただき、分科会を終了しました。

 

第5分科会 人権確立

 

第5分科会では「人権確立」をテーマに、「外国人の人権・働く仲間・移住労働者、もう始まっている多民族・多文化共生」と題して、移住者と連帯する全国ネットワークの鳥居一平さんが問題提起、i女性会議から外国人の家事労働者について、部落解放同盟からインターネット上の差別について報告がありました。

外国人の人権では、外国人労働者の在留資格について、2010年の制度改正以前は、外国人研修制度は「研修」、外国人技能実習は「特定活動」となっていた。2010年の制度改定で、「技能実習」が創設され、「研修」とは分離された。2017年11月には「技能実習法」が施行されるが、これまでと同様にブローカー構造は変わらないとの見解を示されました。

実習生の賃金では、あくまでも予定賃金で実際に支払われることは少なく、中には残業手当が時給300円という実態も明らかになっている。また、就労中のトイレの回数をチェックし、罰金を科している事業所があることも報告されました。

職場やタコ部屋のような社宅では暖房器具が壊れたまま修理されず、部屋の中でもダウンジャケットを着て食事をしている実態や暴行の現場、権利を主張する外国人労働者を、みせしめのように強制帰国をさせるなど、映像を交えて報告があった。このようなハラスメントが横行してしまうのは、制度を理解しない一部の不心得者によるものだけではなくて、邪悪な欲望に変貌する社長が多数いて、支配従属が人を変えてしまうという指摘がありました。

労働者を労働者といわない歪んだ移民政策がある。労使対等原則という中で、民主主義社会を支える柱のひとつが平和と人権であり、現実、事実を直視する必要であるとまとめました。

質疑応答では、技能実習法施行後、どのような問題の改善が見込まれるのかとの問いに、実習制度があるのに法律ができたこと、後から法律ができたことに問題がある。また目的外利用には変わらないというところで「虚構」である。11月1日に施行される「技能実習法」には不正行為という文が明記されたが、実際は「法の抜け道」をめぐる、「いたちごっこ」になるのではないかと危惧している。また、介護以外の受け入れ枠の拡大について、今後の動きを注視しておく必要があると答えられました。

家事労働者問題に関しては以下のような解説がありました。

日本ではこれまで家事労働者問題は無縁だった。2014年の技能実習制度、家事支援の部分で特区に限って家事労働の対策支援が認められた。家事支援、外国人労働、家事対象者は特定機関・企業が受け入れるというところで、今現在、認定企業としては、ダスキン、パソナ、ポピンズなどで、総勢54人が資格を取っている。この中の受け入れ条件で、通算3年未満で、日本に定着しないように同じ人は2度と来られないという問題。賃金は日本人と同等以上となっているものの、ダンピング、低賃金が懸念されるところ。また、家事労働者に男性が出てこないところは不思議なことで、問題を含んでいる。ILO156号条約の家族的責任を有する男女労働者の機会及び待遇の均等に関する条約、ILO189号の家事労働者を労働者と認める家事労働者条約の話があった。

最後に、事業者に対してILO条約を認めさせなければならないとまとめました。

また、インターネット上の差別についての報告がありました。検索サイトでは、差別を助長する情報が簡単に調べられるという実態があること。グーグルマップでは、大阪の私鉄の駅名が「部落」と書き換えられた事件があった。部落差別解消推進法が制定されたことにより、これまで地区指定されたところだけでおこなわれていた施策が、日本全国で施行されることになったことは画期的である。鳥取ループ・示現舎がインターネット上に掲載した「同和地区Wiki」に対する裁判の経過報告がありました。一般的なインターネット上での差別情報の掲載については、海外の通信会社を利用するなど、個人を特定することが困難である。仮に裁判に持ち込めたとしても、膨大な時間とお金がかかるうえに、差別情報を完全に削除することは不可能。人権侵害救済法と差別禁止法の早期制定の必要性が訴えられました。

 

第6分科会 地方の自立・市民政治

 

第6分科会「地方の自立・市民政治」では、白藤博行さん(専修大学法学部教授)から、「辺野古訴訟から考える地方自治」をテーマとして問題提起を受けました。

白藤さんは三重県津市の出身で、公害問題が起こっていた四日市での深刻な被害を目の当たりにした。小学校の校歌にも「希望」と歌いこまれた工場の煙が子どもたちのいのちを縮めていた。そのことをきっかけに法学部で行政学を学び、公害対策基本法に限界がある中で自治体はどうやって守るのかという、法律と条例の問題にとりくんできました。

1995年の少女暴行事件をはじめ、基地があるがゆえに被害が繰り返されてきた。そのころ、大田昌秀知事(当時)が、国を相手に代理署名の訴訟をたたかっていた。白藤さんは鑑定意見を提出するなど訴訟に参加、理論的には勝っていたが、判決は捻じ曲げられた。

それから20年が経って、要請があり、再度沖縄の問題とかかわることになったそうです。

白藤さんは辺野古争訟について、まず、「公有水面埋立法」に基づく手続き問題から解説。知事は自分の仕事として埋め立て免許をなす権限が与えられていて、工事を停止したり、免許そのものを停止したり、損害防止措置や原状回復命令を出すことができる。そして法律上、民間業者と国は別の取り扱いになっている。

それにもかかわらず沖縄防衛局が私人として申し立てを行うことの問題性、不服申し立てを裁定する国交大臣自身が代執行訴訟を行う矛盾。そして代執行訴訟の和解を歪曲し利用しようとする菅官房長官の「法治国家」論の異常は明白です。

埋立承認取消しに対し提訴された法定受託事務についての不作為の違法確認訴訟については、福岡高裁那覇支部・多見谷寿郎裁判長による判決の問題性を指摘しました。翁長県知事の取消処分が適法か否かを審査すべきなのにそれを徹底的に回避し、別個に判断されるべき仲井眞弘多前知事の埋立承認の是非に集中したのです。

これは行政法上裁量権の逸脱濫用について違法と断じることの難しさを利用し、埋立承認は取り消すほどではなく適法で、だから取消処分が違法だとしたのです。また、辺野古は普天間基地の面積が半分だから負担も半分になるという理屈を振りかざし、さらには辺野古唯一論にまで踏み込む、極めて政治的な判決です。

現在、岩礁破砕許可の期限が切れているにもかかわらず、埋立工事を強行しています。漁業権の設定されていない岩礁の破砕は自由にしてよいという国の論理は、これまでの水産庁の通達や国会答弁とも矛盾したものです。埋立強行のために法の解釈と運用を歪めているのです。

沖縄県は差し止め訴訟や仮処分の申し立てで対抗しているが、最終的には埋立承認の撤回を検討することになる。承認の際に付された「留意事項」があり、それに関して違反が続いているからです。

沖縄県だけではなく、全国にかかわる地方自治の問題である。自治の保障は人権保障、そして憲法の核心であると述べられました。

講演後、会場からの質疑を受けました。提起に関連しての質問が活発に行われ、また、地域でのとりくみの報告があったほか、基地縮小に向けたとりくみのいっそうの強化を求める意見も出されました。

最後に白藤さんは、憲法の理念を具体化する法解釈をすすめていくのが法律家に課せられたミッションであるとともに、一人ひとりは小さくともそれぞれがそれぞれの持ち場で憲法を守るとりくみをすすめることが重要だと訴えられました。

 

第7分科会 憲法

 

講師の清水雅彦さん(日体大教授)が、「憲法とは何か」に始まり、安倍改憲の内容と問題点を解説されました。

安倍首相は2017年5月3日の改憲派集会へのビデオメッセージでなかで、憲法9条改正を「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方を示しました。しかし、9条2項か9条3項の加憲なのかはいまだにはっきりしていません。

自衛隊を9条に明記する9条「加憲」論は日本会議の常任幹事であり安倍首相のブレーンの伊藤哲夫・日本政策研究センター代表が「改憲はまず加憲から」して、とにかく「普通の国家」になることをめざして、そのうえで真の「日本」になることを「明日への選択」2016年9月)のなかで主張しています。とにかく改憲して普通の国になることを優先する方を選択したのか。正面からの9条改憲論の後退は戦争法の制定や共謀罪法の制定時における平和運動や世論の成果と考えられます。

9条「加憲」の意味は憲法改正が憲法制定と異なり憲法の継続性が前提という限界説のために後法優先の原則を利用して9条2項の「空文化」「死文化」を狙い、違憲の「戦争法」の正当化し今後は「軍隊」に向けてのさらなる改憲を進めてくるだろう。

安倍首相の主張する(戦争する)積極的平和主義ではない憲法の持つ2つの平和主義、①憲法9条には消極的平和や暴力(戦争)のない状態をめざすこと、②憲法前文では積極的平和の追求、構造的暴力のない状態をめざすことなど、憲法の平和主義の意義は大きい。

安倍改憲に対抗していくためには憲法改正発議させない運動の取り組みが必要と強調されました。安倍改憲NO!全国市民アクションは戦争をさせない・9条を壊すな!総がかり行動実行委員会や九条の会などを加えてあらたに結成されました。このような組織を地域毎に、地域すみずみまでつくりあげていくことだと。具体的な取り組みとしては①3000万署名(安倍改憲NO!憲法を生かす全国統一署名)、②11月3日の10万人集会(安倍改憲NO!全国市民アクション11.3国会包囲行動)などの行動が紹介されました。

講師に対する質問や運動報告がのべ12人からありました。神奈川からは4次に至る厚木爆音訴訟の報告、香川では一回限りの講演ではなく半日をかけての計5回の講座を開催してきたとのことです。また、今回の衆議院総選挙において野党共闘や市民連合との連携などについて報告されました。

フィールドワーク

朝からの雨にもかかわらず、1人も遅刻しないで、35人の方がフィールドワークに参加しに来ました。今回のフィールドワークの場所は埼玉県で、集合場所から1時間ぐらい離れているので、全員日本教育会館の1階ロビーに集まってからバスで移動しました。
丸木美術館が原爆に関する美術館なので、バスで移動している間に事前準備として原爆のことを扱っているビデオを二つ見ました。各ビデオは約15分ずつで、集合場所から吉見百穴に行く間には「君たちはゲンバクを見たか」を、吉見百穴から丸木美術館に行く間には「ヒロシマ・ナガサキ1945年8月」を見ました。
しかし、吉見百穴の事前学習としては何もありませんでした。大会の資料の中に吉見百穴に関してはパンフレットやチラシが一枚もなかったので、準備が足りなかったと思いました。
吉見百穴は第2次世界大戦の当時に日本が地下軍需工場を作ろうとしていた場所でした。軍需工場の工事が完成する前に戦争が終わって、吉見百穴の軍需工場は未完成のまま残されました。 「吉見百穴の地下に軍需工場を建設する時には多くの朝鮮人がここで働かされた」ということからは植民地支配されている人たちの人権についても考えさせられる現場でした。
江藤先生の説明はとても詳しくて、参加者たちは何回も感嘆しました。その中には手帳にメモもとりながら聞いていた参加者もいました。江藤先生は、吉見百穴に関して研究している先生で、直接に吉見百穴で働いた人の話を聞いた経験もあって、その当時に何が起きたかを生き生きと聞かせてくれました。さらに良かったのは、この場で起きたことだけではなく、朝鮮人が働かされた背景や戦後どうなったかまで、歴史的な観点から教えてくださって、私たちが学びに来た意味や私たちがしている運動の意味なども考えられました。江藤先生とは昼ご飯も一緒に食べました。食べた後で残った時間も休まず、色々な話を聞かせてくださいました。江藤先生のお陰で、雨の中でもとても充実した見学になりました。
ただ、吉見百穴の入口での説明は廊下も狭かったし、それぞれ傘も持っていたので、後ろに立っている人まで先生の話が聞こえませんでした。カッパを用意してきたら、良かったと思いました。
丸木美術館は丸木夫妻が描いた絵を展示している美術館です。その絵は「原爆の図」で、原爆がもたらした残酷な実状を感じることができる美術館でした。美術館の職員の方はこの絵が描かれた経緯と、絵が何を表現しているかを説明してくれました。
丸木夫妻は広島出身です。しかし、原爆が投下された時には広島にいませんでした。投下された後の実状を偶然に見て、原爆の残虐さについて知らない人に伝えるために絵を描いて活動してきた夫妻でした。
丸木夫婦は最初から原爆に関心があって、絵を描いたわけではありませんでした。苦みの中で死んでいった人たちに出会ったり話を聞いたりしたところ、絵を描いて活動しようと思うようになったそうです。活動家は決まっているもので生まれる時から活動家だということではない、何かがきっかけになって自分ができる活動をしながら生きていく人たちだということを教えてくれました。そこには、あちこちから来た参加者が35名いました。みんながフィールドワークに参加した理由は違いますが、そんな私たちが同じ世界を目指して同じ大会に参加していることが感動でした。そして、まだ解けていない多くの問題があるという事実をつきつけられました。
「原爆の図」は全部15点の連作で、原爆にまつわるさまざまな場面を表現していました。絵は原爆が投下されたその日から始まっていました。その日、皮膚が黒く日焼けした人たち、その中に平穏な顔をしていた赤ん坊。お互いを抱えていた姉妹。絵に描かれている一人ひとりの目つき、手、動作には丸木夫妻の悩みも含まれていました。その中でも、特に印象的だった絵が、灯篭の絵でした。原爆が投下された時、たくさんの人がやけどを負って水を求め川に逃げ込み、そしてその川で死んでいきました。今はその死者を悼み、毎年その川で灯篭を流しています。絵に描かれている灯篭の中には色々な顔が、表情が、そして思いが含まれていました。私はどんな思いで、毎年広島の大会に参加しているのか、発展しているのか、反省させる絵でした。
そして、美術館には「原爆の図」の他に、他の事件を題材にした絵もありました。丸木夫妻は原爆にとどまらず、平和な世界を目指していろいろな絵を描いていました。美術館には、今も続いている原爆や人権に関する署名用紙も置いてありました。
帰る時には、みんな、1日のフィールドワークで色々なことを感じて満足した顔でした。
ところが、一人ひとりが感じたことをみんなで一緒に話す機会がなかったことは少し残念でした。運動を広げるために、韓国では1日のプログラムでも最初に自己紹介を、終わりに感想を話す時間がありました。しかし、今回のフィールドワークにはこのような時間がありませんでした。フィールドワークの参加者にはこのような話す機会がとても役に立つかもしれないと思いました。自己紹介で他の参加者と仲良くなったら、他の参加者はどう思っているのか聞いてより多くの感情を感じたり学んだりしたらと思いました。運動とは上から下に伝えるものじゃなくて下から上に伝えるものだし、1人ではなくてみんなでするものだと感じられるせっかくのフィールドワークなのに、残念でした。反省会などをすると思いますが、参加者が同じ行動をした他の参加者と直接に話したり自分は考えられなかった他の意見も聞いたりすると、もっと充実した体験になるはずです。(鄭恩珠)

2017年10月31日

安全保障ジレンマの悪循環にはまり込んだ北東アジア ―北朝鮮の核・ミサイル開発と米韓日の軍事的圧力の拮抗関係― 湯浅一郎(ピースデポ副代表)

 トランプ政権が登場した2017年、北東アジアでは朝鮮民主主義人民共和国(DPRK,以下北朝鮮)の核・ミサイル開発をめぐって緊張が高まっている。核兵器禁止条約が現実化する状況下で、北朝鮮の核・ミサイル開発は決して許されるべきことではない。しかし、このような事態を引き起こしている背景をなくさない限り、その解決は見えてこない。
 ここには2つの側面がある。2~4月、そして8~9月を中心に北朝鮮がミサイル発射や核実験をくりかえし、米日韓が提案して国連安保理による経済制裁決議をあげる。このやりとりは、毎年繰り返されている。これは、未だ朝鮮戦争は終わっておらず、準戦時状態が継続しているという現実の反映であり、ことさら新しい現象ではない。一方で北朝鮮のミサイル発射の頻度や多様性、長射程化、更に核実験の規模の拡大は目を見張るものがあり、ここ1-2年で相当な技術レベルに達していることをうかがわせる。米領グアムに到達する「火星12号」が発射され、更には米本土にまで届く大陸間弾道ミサイルも夢物語ではなくなりつつある。これが、これまでと異なる新たな事情であり、緊張を高めている要因である。
 本稿では、進行している事実をフォローし、北東アジアにおける国際政治の状況が、軍事力による安全保障ジレンマに陥っていることを分析する。

1.北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる攻防
 北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる2017年の情勢を見ておこう。2017年1月20日、トランプ米新大統領が就任以降、北朝鮮は過去に例がない頻度でミサイル発射をくり返した。その前後には、定例とはいえ米韓が北朝鮮の政治体制を崩壊させる意図を有した合同軍事演習を行っている。以下、ことの経緯を振り返る。
2月12日,北朝鮮,弾道ミサイル「プッククソン(北極星)2号」発射。

3月1日、米韓合同実動演習「フォール・イーグル」開始(4月30日まで)。

3月2日、国連安保理が強硬な制裁決議。
3月6日、北朝鮮,北西部の東倉里(トンチャンリ)から弾道ミサイル4基同時発射。在日米軍を攻撃する訓練と発表。
3月13日、「フォール・イーグル」に連動した米韓合同指揮所演習「キー・リゾルブ」開始。3月24日まで。
4月20日  国連安保理,ミサイル発射を非難する報道声明
5月14日,21日,29日、北朝鮮は、相次いでミサイル発射。 
7月4日、28日 北朝鮮、ファソン「火星」14号の発射実験。
8月8日、DPRK,「火星12」4発を米領グアム沖に撃つ案を「検討している」と表明。
8月21日~31日、米韓合同指揮所演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーデイアン」。
8月29日、北朝鮮,中距離ミサイル・「火星12号」、北海道襟裳岬上空を通過、太平洋落下。
9月3日、北朝鮮、6回目の核実験。M6.1。爆発力は160キロトン、広島型の約10倍超(水爆の可能性大)。
 この間、日本政府は「北朝鮮が挑発行動」と連呼し、全国瞬時警報システム(Jアラート)で緊急避難や避難訓練を呼びかけている。
9月11日、国連安保理、新たな制裁決議第2375号を採択。
9月15日、北朝鮮、中距離弾道ミサイル・ファソン12号を発射。再度、北海道上空を通過し、約3700km飛来して太平洋に落下。
 実にすさまじい応酬である。しかし、基本的な構造は、この数年、ほとんど変わっていない。こうして並べてみると、北朝鮮のミサイル発射や核実験は、ほとんどの場合、北朝鮮を攻撃し、政治体制を崩壊させることを想定して定例的に行われている米韓合同軍事演習への抗議、ないし対抗措置であることがわかる。同じことは2016年にもみられる。北朝鮮は、16年1月6日に4回目の核実験を行い、2月7日には銀河4号ロケットを打ち上げた。この後、2016年3月7日から4月30日にかけて定例の米韓合同指揮所演習「キー・リゾルブ」(3月18日まで)と野外実動演習「フォール・イーグル」が、米軍1万5千人以上と韓国軍約30万人が参加して行われている●1。米軍は原子力空母「ジョン・C・ステニス」打撃群、原潜、ステルス戦闘機、ステルス戦略爆撃機などが参加した●2。「キー・リゾルブ」は韓米連合司令部が主管する指揮所演習で、北朝鮮の南下を想定し、朝鮮半島防衛に向けた戦力展開と撃退を、シナリオ別にコンピューター・シミュレーションで実施する。15年の、これも定例の米韓合同指揮所演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」で初めて適用された「作戦計画5015」●3が2016年の「キー・リゾルブ」でも使われた。有事の際に北朝鮮の核とミサイルを先制攻撃できる作戦計画を初めて取り入れ、首脳部の斬首作戦も含まれていたとされる●4。
 更に8月24日、北朝鮮は、初めて潜水艦発射弾道ミサイル・ブックスソン1号を発射し、約500km飛来して日本海に落下した。これは、16年8月22日から9月2日にかけて、「乙支(ウルチ)フリーダムガーデイアン」が行われた●5ことに対応し、演習の真っ最中に発射している。
 両演習とも、開始に当たり韓米連合司令部は板門店の共同警備区域からハンドマイクで演習の日程や目的について「例年通り、かつ防御的な演習である」と通告している。しかし、北朝鮮から見れば、体制転覆を目的とした侵略的な演習であると強く反発し、ミサイル発射や核実験を行っているわけである。        

2. 米韓合同演習の中心に在日米軍がおり、第3者ではない
 米韓演習における米軍には、言うまでもなく在日米軍も相当程度含まれる。沖縄の海兵隊及びそれを輸送する佐世保の揚陸部隊、横須賀の空母打撃団、岩国の海兵隊・海軍等々、年により幾分の変動はあるにしろ、在日米軍が演習の中心を担っている。
 例えば2010年の「フォール・イーグル」に参加した空母「ジョ―ジ・ワシントン」(以下、GW。当時、横須賀配備)の指令室の写真には、朝鮮半島の西の黄海のかなり奥に入った地点の周辺で、GWが滞留していた軌跡が映っている。これは、この海域において空母艦載機によるピョンヤン爆撃を想定した着艦訓練が行われていたことを意味している。
 やや古いデータだが、1985年3月、ピースデポが航海日誌の分析から、空母「ミッドウエ―」(当時、横須賀配備)がチームスピリット演習に参加した際の航跡を図示したことがある。ミッドウエ―は、1985年3月18日~20日にかけて黄海の最も奥部に侵入しているが、GW指令室の写真からわかる位置は、ミッドウエ―の侵入地点とほぼ同じ海域である。この事実は、米韓演習では、この30年以上にわたり、毎年、艦載機による北朝鮮への空爆を想定した演習が繰り返されてきたことを示唆している。
 2013年のイラク戦争において、米軍は5つの空母打撃団を、ペルシャ湾と地中海に派兵し、艦載機による約1万回の空爆を行うことで、1カ月もたたないうちにフセイン政権をつぶしてしまった。その時、日本から出撃していた空母「キテイ・ホーク」艦載機による空爆は5375回と言われる。5つの空母打撃団がいるにもかかわらず、なぜか「キテイ・ホーク」1隻で全体の50%以上を担っていたことになる。合わせて随伴艦「カウペンス」、「ジョン・S・マケイン」は開戦時に計70発の非核トマホークを撃ち込んだ。横須賀に近い朝鮮半島での有事ともなれば、それ以上の比重を以って、「ロナルド・レーガン」が関与することは必至であろう。
 16年3月、「フォール・イーグル」に参加した揚陸艦「ボノム・リシャール」(佐世保配備)が釜山港に入港した際の写真がある。そこにはMV22オスプレイとともに、垂直離着陸戦闘機AV8BハリアーⅡが少なくとも3機、見える。オスプレイは、普天間配備のもので、岩国を経由して来たに違いない。ハリアーは、当時、岩国基地に配備されていたものと推定される(2017年に入り、順次、F35Bステルス戦闘機に交代している)。揚陸艦は、通常、ヘリ空母と称され、海上のヘリ基地となる艦船であるが、垂直離着陸戦闘機を搭載することにより、半分は空母と同じ機能も有しているのである。これは、沖縄や岩国の海兵隊の航空機を、佐世保の揚陸部隊が輸送し、空母より小規模とはいえ、海上に軍事空港をつくれることを意味する。この部隊は、ほぼ毎年、「フォール・イーグル」に参加している。
 また、2017年の「フォール・イーグル」には、岩国に配備されたばかりのF35Bステルス戦闘機が韓国軍戦闘機とともに、北朝鮮への先制攻撃を模した軍事行動を行ったとの報道もある。こうしてみると、朝鮮戦争を想定した行動において、在日米軍は、その中心的な作戦行動を担っていることが見えている。米韓軍という時の、「米軍」とは、在日米軍、つまり日本を拠点として前進配備されている部隊が、その中心にいると言うことを、私たちは明確に見ておかなければならないのである。
 首都圏の横田基地に、特殊作戦部隊の輸送を任務とする空軍仕様のCV22オスプレイを2020年から10機配備する計画が動いている。米韓演習に含まれる斬首作戦は特殊作戦任務でありCV22が夜間低空飛行をして潜入し、急ぎ撤退することを支援する部隊になることは必至である。
 2006年からの在日米軍の再編は、米軍の世界再編においても最重要なものとして基地は軒並み強化されてきた。沖縄における辺野古新基地建設にこだわる理由も、北朝鮮対応や中国包囲網との関連が深い。現在は普天間に配備されているMV22オスプレイは、安全性に疑問があろうと、最大速度、航続距離、輸送能力の優位性から辺野古新基地の中心部隊と見込まれている。在日米軍再編で最も大きな変化をとげたのは岩国である。2017年7月からは横須賀の原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機61機が岩国への移駐を始めている。これにより、岩国基地は、極東最大規模であった米空軍嘉手納基地の約1.4倍の軍用機が配備される、アジア最大の海軍、海兵隊の航空基地となる。
 更に、在日米軍の保持・恒久化に加えて、米国は米日韓軍事協力体制の強化をはかってえいる。2012年6月、初の日米韓合同演習が捜索・救難訓練から始められた。日本は、安保法制が施行された後も、今のところ米韓合同演習に直結した形での日米共同演習は行っていない。憲法9条が、そのまま残っていることの威力は依然として強力である。しかし、少し時期をずらして日米共同演習が行われている。2016年10月30日から11月11日にかけて、日本周辺及びグアム、北マリアナ諸島において定例の日米共同統合実動演習「キーン・スオード」が実施された●6。自衛隊約2万5000人、米軍約1万1000人が参加した。これには、安保法制で導入された重要影響事態を想定して、洋上で遭難した米軍機の乗員を捜索救助する初の訓練が含まれる●7。演習の時期は、米韓合同演習と重なってはいないが、日米の戦闘即応体制と相互運用の増強が日常的に進められており、その中に朝鮮半島有事への対処が含まれていることは疑いがない。これらの総体が北朝鮮の核・ミサイル開発の誘因になっているという側面を認識しておくことが重要であろう。

 こうした基本構図の中で、北東アジアは軍事力による「安全保障ジレンマ」とも言うべき悪循環に陥っているのである。一方が自らの安全を確保しようと軍事的に行動すると、それが自らの安全を高める一方で、他者の安全を損なう結果になる。これが、軍事力による安全保障ジレンマである。北朝鮮が核実験やミサイル発射をくり返す。米韓日は、米韓合同演習を軸に軍事的圧力を強め、サード(THAAD)の韓国配備、横須賀の弾道ミサイル防衛能力艦の増強、自衛隊のイージス艦増強等によりミサイル防衛(MD)体制を強化する。まさしく安全保障ジレンマの症状そのものである。
 この悪循環から抜けだすためにいま必要なことは、朝鮮戦争の停戦協定を平和条約に切り替えること、北東アジア地域全域の非核兵器地帯化を条約として締結すること等をセットにした包括的な平和構想を多国間の協調によってつくりだす方向に向かうことである。韓国では保守長期政権にかわって北朝鮮との対話を指向する「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)政権が登場した。この韓国と連携して、北東アジアに続く冷戦を終結させていくことを念頭に、対話や交渉による解決をめざすことこそ、日本外交の任務であろう。それは、核兵器と軍拡競争のない多国間の安全保障機構によって律せさられた地域へ向かう道である。
 日本においては、北朝鮮が一方的に悪者であるとする社会的雰囲気が形成されつつある。しかし、そこに踏みとどまっている限り、混沌は続くことになる。問題は、なぜこのようなことが毎年のようにくり返されるのか、終わらない朝鮮戦争による安全保障ジレンマを克服する道へ踏み出さない限り、何も始まらないことを、特に日本の市民は知るべきである。

注;
●1 「毎日新聞」2016年3月7日。
●2 「AP通信」2016年3月7日。
●3  「ハンギョレ新聞」2015年8月28日。米韓軍が2015年6月に署名した朝鮮半島有事への新たな作戦計画。先制打撃などを含み、従来より迅速、かつ積極的とされる。  
●4 「聯合ニュース」2016年3月7日。
●5 「毎日新聞」2016年8月22日。
●6  防衛省報道発表「平成28年度日米共同統合演習について」、2016年10月21日。
●7 「毎日新聞」2016年10月22日。
 

2017年10月31日

沖縄だよりNO.42(PDF)

http://www.peace-forum.com/okinawa-branch/okinawa_No42.pdf

2017年10月30日

憲法理念の実現をめざす第54回大会(護憲大会)大会アピール

 9月28日、安倍首相は臨時国会冒頭での解散に踏み切り、10月22日投開票で衆議院選挙が行われました。森友・加計学園問題の究明を求める野党の臨時国会開催要求を踏みにじり、市民社会の不信に向き合おうとせず、保身に過ぎないこの衆議院解散を「国難突破」などと言いつくろうこの暴挙は、絶対に許されるものではありません。

民進党の「希望の党」合流問題によって「野党共闘」の課題は紆余曲折しましたが、「立憲民主党」があらたに発足し、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)が野党各党と締結してきた政策協定にも合意、不十分ながらこの間市民の奮闘のなかで積み重ねられてきた「野党共闘」は守られることになりました。

「希望の党」のリベラル派排除なども影響し、残念ながら自公で3分の2を占める結果となりましたが、だからこそ、国会内の立憲野党と結びあいながら、全国の地域・職場で、安倍政権の憲法破壊に対しNO!を突きつける、広範な市民によるたたかいをつくりださなくてはなりません。

自民党が公表した衆院選公約のなかには、憲法9条、教育の無償化、緊急事態への対応、参院選挙区の合区解消を重点項目として示しながら憲法改「正」をめざすことが盛り込まれています。今年5月3日に公然と掲げられた安倍首相の「2020年改憲」をめぐる動きは、重大な局面に立ち至っていると言えます。

平和フォーラムは「戦争をさせない1000人委員会」に結集しつつ、「総がかり行動」運動を継続してきました。この蓄積を基礎としつつも、改憲を阻止するために、これまでの「総がかり行動」運動を質・量ともに超える「総がかり」の連帯・共同の創出が求められています。

こうした情勢を踏まえつつ、いまこそ、憲法違反の共謀罪法・戦争法を廃止し、そして安倍首相が公言する「2020年改憲」を阻止するために、全力を尽くさねばなりません。平和フォーラムとしても、全力で改憲阻止・安倍政権退陣に向けた全国キャンペーンの展開をすすめていきます。

9月に発足した「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」を中心に、さまざまなとりくみを推進していきます。これから開始する「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」は3000万筆を目標としています。この目標設定は、改憲反対の世論を具体的に組織することをめざすということであり、まさに従来のとりくみを「質・量ともに超える」運動展開が必須です。

今回、東京で10月28・29・30日と開催された「憲法理念を実現する第54回大会」(護憲大会)では、全国からの参加者とともに、改憲阻止のため、全力を尽くす決意を固めあいました。とりわけ、声高に叫ばれる東アジアの平和の危機にあたり、政府・与党が言う圧力やアメリカの軍事力は何らの解決をもたらさないばかりか、終局的な事態を引き起こしかねません。いまこそ求められているのは憲法の平和主義に立脚した徹底的な外交努力であることを、私たちは訴えます。

憲法公布記念日である11月3日には、国会包囲大行動とそれに連動して全国各地での行動が予定されています。一人ひとりのいのちと、平和に生きる権利を守りぬくために、いまががんばりどころです。私たちが先頭に立ち、未来を切りひらくために奮闘することを確認しあい、第54回大会のアピールとします。

2017年10月30日

憲法理念の実現をめざす第54回大会閉会総会

2017年10月30日

東アジアの平和のために今こそ!憲法理念の実現をめざす第54回護憲大会を開催

 

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10月28~30日、東京・日本教育会館で、「東アジアの平和のために、今こそ!―憲法理念の実現をめざす第54回護憲大会」が開催され、約700名が参加しました。
集会は、28日に開会総会、29日に分科会・フィールドワーク・ひろば、30日に閉会総会を開催。総選挙後、改憲勢力が3分の2を占め、改憲への動きがより本格化し、また、朝鮮半島における戦争の危機が迫るなか、これまでのたたかいを質量ともに超える運動をいかに展開するが問われる集会となりました。
1日目の開会総会では、オープニングとして大島花子さんのコンサートを実施。「イマジン」「上を向いて歩こう」「ヨイトマケの歌」を熱唱しました。
総会では、主催者を代表して藤本泰成・平和フォーラム共同代表が挨拶。「かつての戦争で批判勢力が一掃された結果、大政翼賛会が作られ、国民が騙されて戦争への道を突き進んだ。私たちは、騙されてはならない。予想される改憲発議の危機のなかで、どのような闘いが必要なのか、真摯な議論をへて、これからの取り組みに反映させなければならない」と提起しました。
また、地元挨拶として関東ブロックの持田明彦議長(埼玉平和運動センター代表)、来賓として、連合の山本和代副事務局長、立憲民主党の近藤昭一衆議院議員、社民党の吉田忠智党首が連帯の挨拶を述べました。
基調提案は勝島一博平和フォーラム事務局長が行い、「選挙結果を厳しく受け止めるとともに、「改憲」を目論むあらゆる勢力にたじろぐことなく、平和憲法を守り広げる闘いを進めていこう。そのため、自信と確信を持ち3000万署名活動を成功させ、憲法『改正』をめぐり、決して退くことのできない、負けることの許されない闘いとしてスタートさせよう」と提起しました。

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シンポジウムは、「東北アジアの平和と日本」テーマに開催。石坂浩一・立教大学准教授をコーディネートに、パネラー3人が問題提起し意見交換を行いました。
和田春樹・東京大学名誉教授(顔写真左)は、今日のアメリカと北朝鮮の危機について、「米朝の戦争であるにもかかわらず、北朝鮮対日米の戦いとなる、一旦戦争に突入すれば、米軍に基地を提供してきた日本が自動的に戦場となり、日本国民が平和な生活を失う危険に直面する」と指摘。そして、日本の果たすべき役割は、15年間放置されている「日朝ピョンヤン宣言」を履行し、日朝の国交樹立をはかり、米朝の対立緩和に向けて対話を軸に最大限の努力をすべきだと提起しました。
また、軍事評論家の前田哲男さん(同中)は、朝鮮戦争の際、日本の基地から攻撃機や軍艦が出撃し、日本が朝鮮戦争に加担した当事者であったことに触れ、「戦争法の強行採決によって、自衛隊が大きく変質し、米艦防護をはじめ他国に対する武力攻撃をも行うこととなり、朝鮮戦争は対岸の火事ではすまなくなる。戦争回避の努力をせず戦争前夜を煽る安倍政権の姿勢を許すことができない」と訴えました。
伊波洋一・参議院議員(沖縄県選出)(同右)は、安倍政権が北朝鮮への脅威を煽り「制裁と圧力を」と叫ぶが、国民に対し、日本が戦争に巻き込まれることに言及していないと指摘、「現在の日米同盟は日本が戦場になることに躊躇していない。一旦戦争が起これば国は国民を守ることはない。だからこそ、戦争を起こさない努力をすべきだ」と強調しました。また、米中関係に言及し、「米国の戦略は対中国との戦闘を避け、日本にその肩代わりさせようとするもの。日本政府の南西諸島での自衛隊強化は、その表れだ」と述べました。
そして、今後の私たちの取り組みとして、3名とも、米国追随の戦争国家への道を歩むのではなく、平和憲法のもと、日朝国交正常化をはじめ、日韓、日中による平和外交の推進、民間レベルでの交流と信頼関係の醸成などが必要と提起しました。

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2日目は、①「非核・平和・安全保障」②「地球環境―脱原発に向けて」③「歴史認識と戦後補償」④「教育と子どもの権利」⑤「人権確立」⑥「地方の自立・市民政治」⑦「憲法」の7分科会が開かれました(上写真は憲法分科会)。
また、フィールドワークとして「丸木美術館・吉見百穴(地下軍事工場跡)」の見学(下写真は丸木美術館の「原爆の図」)、「ひろば」では、①「男女共同参画(女性と人権)」②「基地問題交流会」③「第5福竜丸展示館見学」、特別分科会「運動交流」が実施されました。

→分科会報告はこちら

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3日目の閉会総会は、勝島一博事務局長による「大会のまとめ」を提起。遠藤三郎賞は、個人は神垣宏さん(群馬平和運動センター)、団体は「放射能のゴミはいらない!県条例を求める会」(岡山県)が授与しました。
また、特別報告として、「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」の新倉裕史さんと、「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和男さんからの取り組みの現状などの報告を受けました。
最後に、11月3日の国会包囲行動の成功と、「一人ひとりのいのちと平和に生きる権利を守り抜くために、今が頑張りどころ。先頭に立ち未来を切り開くために奮闘することを確認する」との大会アピールを採択し、集会を終了しました。

→大会アピールはこちら

2017年10月25日

不当な差別を許さない 「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会」

 11月25日(水)、東京・代々木公園で「朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!全国集会」が開催され、3200人が参加しました。

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 今年に入ってから全国3か所の裁判所で、朝鮮学校への「高校無償化」適用除外の違法性をめぐる裁判の判決が出されました。大阪では朝鮮学校への適用除外は法の趣旨から逸脱したもので違法無効であるとする原告勝訴の判決が言い渡されましたが、一方で広島と東京では国の主張を丸写ししたような不当判決が出されました。また、朝鮮民主主義人民共和国の核実験やミサイル試射を口実に、全国の自治体で朝鮮学校への補助金支給が中断されるなど、深刻な人権侵害が続いています。この日おこなわれた集会は、今後も続く裁判闘争全てに勝利し、朝鮮学校の学生たちの学ぶ権利を勝ち取ろうという決意を固めるためのものでした。

主催者を代表して挨拶した平和フォーラムの藤本共同代表は、朝鮮を植民地支配したという歴史を歪曲し差別を助長する日本政府の姿勢が、朝鮮学校への差別に露骨に現れていると批判。多文化共生社会の実現のため、これからも日本の市民運動と在日朝鮮人が連帯しようと訴えました。
集会ではその他にも朝鮮学校の学生やその保護者、卒業生、さらには全国から駆けつけた日本人支援者などが発言し、朝鮮学校への差別をなくすためともに頑張って行くことを確認しました。
 

 集会後は渋谷駅周辺でパレードを行い、力強く「朝鮮学校への差別反対!」を訴えました。
 

2017年10月23日

第48回衆議院議員総選挙の結果を受けて

第48回衆議院議員総選挙の結果を受けて

フォーラム平和・人権・環境
代表 藤本泰成

 混乱の中で、第48回衆議院議員総選挙が終了しました。台風の影響から期日前投票は2000万人を超えて過去最高となり、そのため投票率は53.60%と、過去最低を記録した2014年の52.66%は超えたものの、民主党が政権交代を成し遂げた2009年の67.51%には遠く及ばず、様々な課題があったにもかかわらず、有権者の関心が高まったとは言いがたいものです。結果は、自民党が単独で284議席を獲得し、絶対安定多数の261議席を超えました。連立与党の公明党を加えると、313議席と圧倒的多数を占めています。
 安倍晋三自民党総裁は、北朝鮮の脅威と少子高齢化を上げて、二つの国難に向けた総選挙と主張し、北朝鮮への圧力を最大限に高め危機管理に全力を尽くして市民の生命と財産を守り抜く、幼児教育の無償化と世代を超えた社会保障の充実へ向けて消費税増税による財源を充てるとしました。しかし、米国と歩調を合わせる北朝鮮への圧力強化には国際社会は同意していませんし、消費税増税分は財政再建に充てることを決定していたはずです。この間、安倍政権は防衛費を増額しつつ生活保護規定の改悪を繰り返してきました。また、民主党政権の高校の授業料無償化には「バラマキ」と反対し、きわめて消極的姿勢をとり続けてきました。自民党の公約が、いかに選挙目当ての実のないものかは明らかでした。
 自民党は選挙公約に、自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消の4項目を中心に、憲法「改正」をめざすと入れました。しかし、安倍総裁は選挙期間中にそのことに触れることはほとんどありませんでした。希望の党が「憲法9条をふくめ憲法改正論議をすすめます」としていることや、日本維新の会が憲法「改正」を否定していないことなどを含め、これまでの安倍総裁の発言からは、今後の政局において一気呵成に改憲に進み出すことが予想されます。改憲阻止に向けたとりくみが、きわめて重要な段階にあります。
 平和フォーラムは、安全保障関連法(戦争法)阻止のとりくみに向けて「戦争をさせない1000人委員会」を組織しつつ、より大きな広がりを求めて「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」に運動を拡大してきました。その中で、戦争法を強行した安倍政権との闘いをすすめるとともに、総選挙に対しては、政権交代を基本に安倍政権退陣を求め、民進党・社民党・共産党・自由党の立憲4野党共闘をすすめ、与野党1対1の構図をつくり出し、意見の相違を乗り越えて全力で闘うことをめざしてきました。しかし、前原誠司民進党代表による民進党解党・希望の党合流、小池百合子希望の党代表によるリベラル派排除の方針の中で、野党第一党の民進党の分裂は必至となりました。枝野幸男衆議院議員を代表とした民進党リベラル派は、立憲民主党を立ち上げ、安倍政権に不満を持つ市民層の期待に応え、短期間で大きな成果を上げました。しかし、野党第一党の分裂は、結果として自民党の圧勝を許しました。「改革保守」と称し、安倍政権の交代を求めるとして立憲野党の分岐を引き起こした前原・小池両代表の責任は極めて大きなものです。
 選挙後の立憲野党勢力は、細分された状況にあります。森友・加計学園問題の追求、改憲の発議阻止、戦争法に反対し自衛隊の集団的自衛権行使を行わせないためにも、立憲野党の一致したとりくみが重要となっています。
 今こそ、安倍政権の暴走を止め、個人主義に立って民主政治の実現をめざさなくてはなりません。立憲野党勢力の共闘を基軸に、平和フォーラムは、改憲阻止に向けて全力でとりくんでいくことを決意します。                                   
 

2017年10月12日

米軍ヘリの沖縄県東村高江での「不時着・炎上」事故に抗議する緊急声明

 米軍ヘリの沖縄県東村高江での「不時着・炎上」事故に抗議する緊急声明

 

20171012

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 勝島 一博

 

 沖縄県東村高江の住民の不安が現実のものとなりました。1011日、高江の民有地に米軍ヘリが「不時着」し炎上したのです。報道によれば、「米海兵隊所属の大型ヘリコプターCH53Eが、米軍北部訓練場外の民有地の牧草地に不時着して炎上を起こし、大破した」としたほか、米海兵隊は「飛行中に火災が発生し、緊急着陸した」と発表しました。高江の住民に直接の被害はなかったものの、「不時着地」は集落のなかであり、高江小学校からわずか2kmのところでした。かろうじて住民らの命が損なわれなかったことは、不幸中の幸いとしかいいようがありません。

 高江では、一昨年7月に新たな米軍基地建設が強行され、昨年12月には集落を取り囲むように危険なヘリパッド基地が完成しました。この強行工事の過程では、県民らの粘り強い反対闘争に対して、国は大量の機動隊員を導入し、多くのけが人や沖縄平和運動センター議長の山城博治さんをはじめとして多数の逮捕者を出す大弾圧を繰り返したほか、法を無視してまで貴重なやんばるの森を強引に切り開いてきたのです。高江の闘争は、住民のいのちとくらしを守り、貴重な自然を保全する闘いだったのですが、今回の事故は私たちの懸念していた事態が現実のものとなったものであり、怒りを禁じ得ません。

 事故を起こしたCH53ヘリは、これまでも20048月、沖縄国際大に墜落する事故を起こしています。米軍ヘリの墜落事故は20138月、県民の水がめである宜野座村の大川ダム付近にHH60救難ヘリが、20158月にはうるま市伊計島沖で米陸軍MH60ヘリが、そして昨年12月にはオスプレイが名護市沖に墜落事故を起こしています。オスプレイについては、今年に入り伊江島、奄美空港、大分空港等で緊急着陸する事故を繰り返しており、相次ぐ米軍機の事故は米軍の運用実態に重大な問題があるとしか思えません。

 今回の事故を受け国は、遺憾の表明と安全第一の運用と原因究明、再発防止策を米軍当局に求めるにとどめています。しかしながら事故が頻発する現状では、安全点検のため全米軍機を飛行停止し、当該機の事故原因を究明し、報告書が公表されるまでは事故機と同型機すべての飛行再開をさせないようにすることが、国が米軍当局に求める最低限の事項であるべきです。

 米軍機の運用は、訓練移転や日米の軍事一体化の流れのなかで、全国規模に広がりつつあります。日本のすべての住民にとって米軍機の事故は他人事ではありません。そもそも、米軍機は航空法の適用除外となっており、提供空域以外でも飛行訓練が常態化し、日本政府は「日米安全保障条約の前提として当然」であるとして、これを容認しています。沖縄・高江での事故は、全国各地で起こりうる事故と言えます。

 フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)は、沖縄からの米軍基地の撤去のとりくみをすすめるとともに、米軍機の運用実態を黙認する日本政府の対応を決して許すことなく、市民のいのちとくらしを守るために、地位協定の抜本的な改定、米軍機の運用規制を求めて、今後とも闘いをすすめていきます。

2017年10月10日

もう一つの総選挙ー最高裁裁判官国民審査も投票を

 安倍内閣は9月22日に衆議院を解散、10月10日に公示され、22日に投開票が行われます。総選挙と合わせて、最高裁判所裁判官の国民審査も行われます。国民審査は主権者が裁判官をチェックする重要な機会ですが、関心が低く、無印は信任とされる非民主的な制度が続いています。
 平和フォーラムは毎回、国民審査に当たって裁判官の判例などを踏まえ、「×」印を増大させる運動を行っています。今回も、「衆院選挙の不均衡の合憲判決」、「夫婦同姓の合憲判決」、「18歳の少年への死刑判決」、「厚木基地訴訟飛行差し止め判決」、「辺野古基地埋立て判決」などにより、小池裕、菅野博之、大谷直人の3人を中心に「×」を付ける事を呼びかけています。

 対象裁判官(出身)
 「×」を集中する裁判官
  小池裕(裁判官)、菅野博之(裁判官)、大谷直人(裁判官)
 その他の裁判官
  戸倉三郎(裁判官)、山口厚(大学教授)、木沢克之(弁護士)、
  林景一(行政官)

 ●平和フォーラムでは国民審査のチラシを作成しています。下記からダウンロードできます。

171010資72/国民審査チラシ.pdf

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