イラク情勢Watch vol.15 05年10月24日
         発行:フォーラム平和・人権・環境  編集:志葉 玲

       毎週更新(予定)


Topics
1)週間イラク報道Pick up
2)米軍空爆「武装勢力70人殺害」、実際は民間人の犠牲者多数
3)米議会報告、イラク復興の遅れと不透明性を問題視
4)ファルージャ映像紹介+トーク 10月27日
5)イラク人画家&イラク人NGOスタッフ来日決定


1)週間イラク報道Pick up

【05.10.24 読売】NYタイムズ、ミラー記者に事実上の退職勧告

【05.10.23 毎日】<イラク>国民の82%が多国籍軍駐留反対 英が極秘調査

【05.10.23 毎日】<イラク>新憲法案の国民投票 12県で賛成が多数

【05.10.23 産経】イラク派遣、1年延長へ 空自、輸送支援継続…視野に

【05.10.21 共同】陸自への自爆攻撃警告 サマワでサドル師派

【05.10.19 共同】フセイン被告、無罪主張 特別法廷、初公判

【05.10.18 ロイター】イラク国民投票、抵抗勢力の活動終結につながらず=
パウエル前米国務長官




2)米軍空爆「武装勢力70人殺害」、実際は民間人の犠牲者多数

 イラク駐留米軍は、17日、その前日に行ったイラク西部ラマディへの爆撃で「武装勢力70人を殺害した」と発表したが、実際には女性や子どもなどの明らかに民間人とされる人々が犠牲となっていた。国連統一地域情報ネットワーク(IRIN)は、18日付けの記事の中で、民間人の犠牲について報じている。

 記事によると、ラマディ病院のアーメド・クバイシ医師はIRINに対し「我々の病院は38人の遺体を引き取ったが、その中には4人の子ども達、5人の女性が含まれていた」と語ったという。また、クバイシ医師は42人の負傷者を同病院が治療したと語った。

 ラマディ行政府筋は、IRINに空爆で三つの家が完全に破壊され、14人が死亡、12人が死亡したことを伝えた。

 ラマディ当局の話によると、イラク新憲法案への国民投票が行われた先々週、米軍の空爆から逃れるため1700家族が避難したのだという。この間、ラマディを州都とするアンバル州では、「選挙実施」を名目に掃討作戦が行われていた。


3)米議会報告、イラク復興の遅れと不透明性を問題視

 イラク戦争開戦から2年半が経つが、イラクにおける水や電気事情は一向に回復しないばかりか、より悪化している。例えばバグダッドでは、今年1月末の選挙前後や、同7〜8月に深刻な水不足となり、電気もかつては4〜6時間毎に停電と配給が繰り返されるというペースだったが、現在は1日に1時間程度ということもある。

 18日に米政府説明責任局(GAO)は、米国会に提出したレポートの中で、イラク復興事業の遅れと不透明性を問題視している。報告書によると、水及び公衆衛生関連の事業に割り当てられた約2億ドルの内、今年6月までに完了した5200万ドル分の事業は、実際には実施されていないか、不十分な成果しか出せていないという。また、そもそも事業の成果に関するデータが不十分であることが、復興事業の進捗を阻んでいるとしている。

 イラクでは、今月11日、暫定政権下(04年6月〜05年1月)で10億ドルもの横領があったとして前国防大臣を含む23人に逮捕状が出ている。また、米英占領当局(03年5月〜04年6月)から、イラク暫定政権に権限が移譲された際に約90億ドルの復興資金が使途不明になっていることが明らかになった。 


4)ファルージャ映像紹介+トーク 10月27日
 今週木曜(27日)に行われる自衛隊の即時撤退を求める院内集会で、イラクの映像プロダクションによるファルージャ総攻撃についてのドキュメンタリーが上映される。また、本コーナー編集者である志葉も、04年5〜7月に現地を訪れた経験から、ファルージャに関する解説と、イラク占領の問題点について話す予定。
  ↓以下、転送歓迎。

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イラクの人びとの声にこたえ、自衛隊の即時撤退を求める院内集会

〜イラク国内で集められた1100筆の署名提出を行います!〜

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 日時 ● 10月27日(木) 午後3時〜4時30分(2時30分開場)

 会場 ● 参議院議員会館会議室
    (地下鉄「国会議事堂前」「永田町駅」下車徒歩3分)

※入口に案内係がいますので、2時55分までに入館証をお受け取り下
さい。会議室の詳しい場所は、その際にお伝えします。


【プログラム】

■ビデオ上映『ファッルージャからの証言』[15:05〜]
  昨年11月に行われた米軍のファッルージャ侵攻をイラク人の
  側から取材した貴重なドキュメンタリー作品。日本語字幕付。
  現在、同ビデオを全国会議員に送るキャンペーンを展開中。
  制作:アル・キターフ芸術プロダクション(2005年、約32分)

■現地報告:志葉玲さん(フリージャーナリスト)[15:40〜]
  2003年のイラク戦争開始直後、現地で民間人の空爆被害を取
  材。その後も現地を頻繁に訪れ、米軍による「テロ掃討作戦」
  や自衛隊の活動などについて精力的に取材。

■国政報告および署名提出行動[16:15〜]
  集会に出席した議員からの国政報告の後、各党代表に署名コ
  ピーを提出。集会後、不参加の党への署名コピー提出を行い、
  最後に首相宛に署名原本の提出行動を行う予定。

           *  *  *

 イラクの市民グループ、女性の意志委員会は、昨秋より「自衛隊を含めたすべての占領軍の即時撤退を求める署名」運動をイラク国内で展開し、約1100筆の署名を集めました。今回、イラクの人びとの平和と自由への思いが込められたその署名を小泉首相(およびコ
ピーを各党)に提出します。

 2年半に及ぶ軍事占領のもと、イラクの米英軍・警察・民兵の暴力による混乱・市民の被害はますますひどくなっており、米英軍、そして自衛隊の撤退を求めるイラク市民の声はますます強くなっています。にもかかわらず、政府は12月14日に期限切れとなる自衛隊派遣の延長の方針を固めようとしています。

 私達は、今回の署名提出行動および院内集会を通じて、憲法改悪の礎石となる自衛隊派兵問題を今国会の焦点とし、与党による一方的な派遣延長決定を阻止する機運を作っていきたいと考えています。ぜひ、多くの方の積極的参加をよろしくお願いします!

            *  *  *

主 催 ●「イラクの人びとの声にこたえ、
自衛隊の即時撤退を求める署名」連絡会
     http://page.freett.com/palestine/iraq_action.html
連絡先 ● Email. ysige@hotmail.com 
       Tel. 090-9273-4316(やくしげ)
協 力 ●「ファッルージャからの証言」日本語版制作委員会

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以上。



5)イラク人画家&イラク人NGOスタッフ来日決定

 来月、イラクの若手画家のホープであるハニ・デラ・アリ氏(画像)と、日本のNPO「PEACE ON」の現地スタッフであるサラマッド、アマラ夫妻が初来日、関東を中心に各地で関連イベントが催される。

     

 ハニ氏達イラクのアーティストと、PEACE ONとの交流の始まりは、昨年2月、画家の増山麗奈氏が「イラクのアートを日本で紹介したい」という思いから、バグダッド入りしたことから始まった。増山氏は、PEACE ON 代表の相澤恭行氏、スタッフのサラマッド氏の協力を得て、イラク人アーティスト達と交流を深め、彼らの作品を持ち帰った。増山氏とPEACE ON は共同プロジェクト「LAN TO IRAQ」を始動させ、東京、沖縄、ソウルなどのギャラリー・美術館等で展示され、反響を呼んだ。

 抽象の中に、ハンムラビ法典や古代メソポタミアの記号、そしてナツメヤシなど、イラクの歴史・風土を象徴するシンボルを織り込める。粘土板のように分厚く絵の具を塗り重ねながら、その色使いは繊細。ハニ氏の作品はイラク国内にのみならず、ヨルダンやシリアなどの中東、ドイツやポーランドなどの欧州においても高く評価されている。

 日本では、イラクというと、やはり戦乱のイメージばかりでイラクの芸術家やその活動が紹介されることは少なく、また、現地情勢がますます混迷していく中、イラクのアーティスト達はその活動を続けることが困難になっており、ハニ氏も隣国ヨルダンに一時避難することをを余儀なくされている。今回ハニ氏の来日は日本・イラク両国の文化交流において重要な意味があるだろう。

   
以下 転送歓迎
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〜イラク 混沌からの光〜
イラク人画家&PEACE ON現地スタッフ来日決定!

 あの戦争から2年半、いまだに混沌とするイラクから、戦渦に呑まれながらも今日も独自の表現を追求し芸術による抵抗を続けるイラク人若手画家、ハニ・デラ・アリ氏の来日が決定しました。また、イラク支援&文化交流NGO「PEACE ON」の立ち上げから共に活動を続け、命がけで日本との友情の絆を繋ぎとめてきたイラク人現地スタッフ、サラマッド・ハキ・モハメッド氏と、彼のパートナーでもあるアマラさんも来日します。

 メソポタミア文明の時代から、悠久の歴史が育んだ豊かな文化が煌くイラクから、そして中東における芸術の中心地であった都バグダードからの希望の光。知られていないイラクの現代アートに直に触れ、伝えられないイラクの現実に耳を傾け、絶望的な状況の中でも活動を続ける彼らの巨大な意志の力を感じてください。

*案内チラシをダウンロードできます。両面印刷して、どうぞお配りください。
http://npopeaceon.org/word/shouhei.pdf


○● 賛同のお願い ○●
3人の日本招へい企画を成功させるため、多くの方の賛同をお願いします。
賛同金 個人一口1000円〜 団体一口3000円〜
賛同金振込先 郵便振替 00160−2−647637 口座名 PEACE ON 
*備考欄に「イラク人来日企画賛同」とご記入ください。


<スケジュール(現在決まっているもの)>
最新情報は、HPにて随時ご確認ください。
http://npopeaceon.org/

■Hani Al-Dalla Ali展(個展)■
11月21日(月)〜12月3日(土)午前11時〜午後7時(最終日は午後4時まで)
中和ギャラリー 東京都中央区銀座6−4−8曽根ビル3F 03−3575−7620
http://www.chu-wa.com/   *日曜祝日は休廊 ★作家在廊日11月21日予定

■イラク現代アート展(LAN TO IRAQ in KAWAGOE)■
11月18日(金)〜11月23日(水)午前10時〜午後8時(最終日は午後6時まで)
クラッセ川越5F川越市国際交流センター  埼玉県川越市菅原町23−10
JR・東武東上線川越駅東口から徒歩約3分 *火曜休館 作家在館日11月23日16時〜http://www.eng.toyo.ac.jp/~kyougaku/satellite/2003/ce/kurasse.html
●作家講演:11月23日午後6時から同館6F多目的ホールにて 参加費500円
主催&お問合せ:イラク現代アート展実行委員会 0492−22−9879

■アートライブ ハニ・デラ・アリvs増山麗奈■
11月26日(土)午後1時〜午後4時 参加費1000円(予定)
レストランらくだ 京王線千歳烏山駅西口徒歩5分 03−5313−8151
主催&お問合せ:NPO法人PEACE ON

■PEACE ONイラク人職員&画家来日記念「そうだ!イラクの友に聞いてみよう」(仮)■

11月27日(日)午後2時半〜午後5時 参加費1000円(賛同者500円)
養源寺白華会館ホール 文京区千駄木5−38−3 Tel/03-3828-0185
http://bunkyoku-town.com/map/bn000311
南北線本駒込駅徒歩3分(PEACE ON事務所隣) 主催&お問合せ:NPO法人PEACE ON
※終了後19:00より日暮里のレストラン「zakuro」(http://zakuro.oops.jp/)にて、交流パーティを開催します。
中東料理や水タバコを囲みながら、皆で楽しくお喋りを弾ませましょう。食べ放題飲み放題+お楽しみつき5000円(会員4000円)。先着50名様まで受付。お申し込みはPEACE ON事務局まで。

■ハニ・デラ・アリ展「イラク 矢臼別−Save Children Save the future−」(仮)■

11月29日(火)〜12月4日(日)午前10時〜午後7時(予定)
ギャラリー大通り美術館 B展示室 札幌市中央区大通西5丁目11 大五ビル
●講演:12月1日(火)かでる2・7北海道立道民活動センターにて(作家&現地スタッフ)
●12月2日(水)上記展覧会場にて作家アートトーク、
サラマッド氏函館講演(詳細はお問合せください)
主催:セイブイラクチルドレン札幌、他 お問合せ:090-1529−8528(千葉)


特定非営利活動法人PEACE ON 代表:相澤恭行
〒113-0022東京都文京区千駄木5−38−4
TEL/FAX03-3823-5508
http://npopeaceon.org
office@npopeaceon.org
LAN TO IRAQ(イラク人作家による現代アート展)
http://npopeaceon.org/lantoiraq/index.html


【プロフィール】
ハニ・デラ・アリ Hani Al-Dalla Ali
http://npopeaceon.org/lantoiraq/contents/hani/index.html
1969年、イラク、ヒート生まれ バグダード大学造形芸術(絵画)科卒業
1988年、バグダードの造形芸術院にて個展
1996年、ヨルダンのシャバーブ・アル・ザルカに出展
2001年、バグダードのアカブ・ギャラリーに出展
2002年、バグダード造形芸術国際フェスティバルに出展
2003年、バグダードのアル・アブダ・ギャラリーにて6人展
2004年、バグダード、アンマン、日本、韓国など各地の展覧会に出展
10月から2005年2月まで、ポーランド文化省の招待で
美術品修復の技術を学ぶためポーランドのアカデミー・ファイン・アートに留学
イラク芸術家協会会員  イラク造形芸術家協会会員

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バックナンバー
第14号 2005年10月15日
第13号 2005年10月09日
第12号 2005年09月30日
第11号 2005年09月21日
第10号 2005年09月12日
第09号 2005年08月30日
第08号 2005年08月22日
第07号 2005年08月14日
第06号 2005年08月05日
第05号 2005年07月30日
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第01号 2005年06月29日